「やはり喰べている本が上質なものが多いからなのか、
トト達の能力は実に素晴らしい。
眷属と言え、並みの下巻クラスの本喰人と引けはとらん。
それは、ノウェム達も同じではあるがな。」
「トト達には、オレも出来る限り将来の本喰人になるべく、英才教育は施しているつもりです。
トト達は三つ子なのもあるので、オレ達眷属（きょうだい）もかなり期待しているんです。」
「ほう。そうであったか。確かにノウェムの言う事は理解出来る。
お前の教育は実に理に適っているぞ。」
「有難うございます、六マスター。オレの教えが間違っていないと
わかっただけでも、大収穫です。」

トト達は六マスターに言われて、自分達の能力を使って、ある遊びをしていた。
それを見ながら、六マスターはトト達に、色々とアドバイスをする。
こうした方が効率がいいとか、そんな感じで優しくだ。
だからそれが修行みたいになってるとトト達は思わずに、楽しく遊んでいる。

「トト達は三つ子だと言うのも良い環境なようだな。お互いに助け合いも出来るが、
切磋琢磨し、時にライバルとして戦い合えるから、成長も互いに実感し合える。」
「はい。それにオレやヴァンダムも、時にはトト達は良い戦いの練習相手になります。
３冊同時に相手にするのは、結構しんどいものですから。
最初は全然相手にならなかったトト達ですが、今は結構手強くなりました。
今後は六マスターの指導のおかげで、強敵になってくれそうで、オレもヴァンダムも楽しみです。」
「ふっ。ならノウェムもヴァンダムも、うかうかしてはいられぬぞ？
トト達はかなり吸収力があるからな。あっという間に成長するぞ？」
「そうですか。ならオレも時間を見て修行すべきですね。」
「そうであるな。修行はどんな場所でも出来る。ヴァンダムもキュアート殿を警護しながら、
拙者の教えた修行をしているようだぞ？」
「では、今度オレにもぜひ教えて下さい。」
「わかった。では、今教えよう。トト達を見ながらな。」
「はい。お願いします。」

オレが六マスターに頭を下げると、トト達はそれを見て、嬉しそうに騒ぐ。

「わー！ノムにーにーが六ショーに頭下げた！！！」
「六ショーすげぇーーー？！！」
「やっぱり六ショーの方が上なんだね！」

などと大騒ぎである。全く、まだまだ子供とは言え、礼儀の方がまだなってないな。
これは戦い方を学ばせるのも大事だが、礼儀もちゃんと教えていかないとか・・・
オレがそう思っていると、六マスターは何を思ったのか、
少し怒った顔になってトト達に注意する。

「こら。自分達の兄をからかうものではない。
それに誰かにものを教えて貰う時の態度を茶化すのも感心せんな。
そんな礼儀知らずな者は拙者は大嫌いだ。お前達がそれを反省せぬのなら、
拙者は二度とお前達とは遊ばんし、今後何も教えぬ。」
「え？！そんなの嫌だよ？！！！」
「ごめんなさい！六ショー！ごめんなさい！」
「僕達が悪かったです。だから許して！」

六マスターに軽く怒られ、トト達は一斉に六マスターの側に行き、可愛く謝罪を続ける。
そして、今度はオレの側に来ると、オレにも謝罪してくれた。
珍しいな、こんなにもトト達がすぐに言う事を聞くなんて。
アリアドネが注意しても、全然言う事を聞かないのに。
それだけ、トト達は六マスターを尊敬もしていたのか。