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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

俺は15冊目達の作業を手伝うと言うよりは、今日はもっぱら道具の使い方とか、
アドバイスをすることになった。
やっぱり時代が進むと、ここまで農作業の道具も違うんだな。
俺も明日の朝に農園を手伝って、あの見たことがない機械とかを
自分が使ってみたいもんだと思った。
それからお互いがそれぞれに満足した辺りで、トリア先生の家に帰ろうと言う事になり、
その帰る途中の道で、俺はトワに声を掛けた。

「トワ。」
「な・・・何?」

トワは俺に声を掛けられ、ちょっと不機嫌そうに返事する。
ただ、さっきよりは俺を無視しようとはしなくなったようだ。

「ごめんな。俺は久しぶりに故郷に戻って、気持ちが安定しなかったから、
それで機嫌が悪かったんだ。だから、頼むから怒るな。
俺が悪かったから。」
「え・・・・あ・・・うん。」

トワは俺に素直に謝罪され、戸惑う。どうしようと言った顔をするが、
すぐに俺の側に寄って来た。

「トワも・・・ごめんなさい。十二の気持ちも考えられなくて。」
「いや、お前は何も悪くない。気持ちが安定しないのは、俺の落ち度だ。
俺が未熟だから悪いんだ。だからトワは気にするな。」
「うん・・・わかった。でも、私も1人で浮かれていたから・・・だから謝りたい・・・」
「トワ・・・お前・・・」

申し訳なさそうな顔をするトワに、俺はどうかしてやりたいと思って、
つい頭を撫でてしまった。
トワは驚いた顔になったが、今日は何故か抵抗しなかった。

「もう・・・私は子供じゃないのに・・・」

トワは文句を言いながらも、ちょっと照れくさそうにしながら、
それでも頭を撫でる俺の手を受け入れていた。
遠巻きに、俺達の行動を15冊達が微笑んでいる。

「お詫びって言うのもなんだが・・・トリア先生のとこの用事が済んだら、
他の国も観光してから帰ろう。
トワの行きたい国があるなら、先にそこから行ってもいい。」
「え?本当?」
「ああ。ここで嘘なんか言わないさ。出来るなら、ギリシャから近い国からにして欲しいけどな。」
「そこはトワもちゃんと考えるもん♪やったー♪」

俺のこの言葉で、一気にご機嫌に戻ったトワは、またいつもの元気のいい笑顔に戻った。
現金な眷属だなー俺のトワは。
けど、この笑顔を見てしまうと俺は自分の言った言葉が悪いものではないと実感する。
それに俺もせっかく海外に来たのなら、他の国も見たいもんな。
ただドイツだけは避けたいとこだが・・・
ドイツに行って、2の奴を刺激するような行動だけは避けたい。
あ、トリア先生から2の奴の話とか、まだ聞いていなかったな。
今夜にでも話してくれるだろうか?
初版本世代の話も、まだ聞いていなかったじゃないか・・・
俺はまだまだトリア先生から、聞かなければならない話があったことを次々と思い出す。
俺がここでしっかりとトリア先生から情報を得たら、
二四達にも教えてやらなきゃだもんな。
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