このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

俺が農園に着くと、トワは楽しそうな声で15冊目や16冊目と農作業をしていた。
トワには何もかも新鮮なようで、事あるごとに彼らに質問しては、嬉しそうにしていた。
すっかり童心に返っていると言っていい状態だな、あれは。

「これはトマトって野菜だよ。」
「え?この緑色のものが?」
「そう。熟したら、あの赤色のトマトになんだってさ♪」
「へー!そうだったんですね!私初めて知りました!」

トワは16冊目と一緒にトマトの苗の前で賑やかにしていたが、次に15冊目の呼ばれ、
そちらの方に移動し、また何かを教えて貰う。

「これもトマト?でも細長い形だから、違う野菜?」
「これね、トマトじゃなくて、トウガラシと言う野菜だよ。
これも育っていくと赤色になるんだ。
人間達はこの辛みがある野菜を喜んで食べるんだそうだ。」
「え?このお野菜は辛いんですか?」
「うん。防虫効果もあるくらいで、虫も避けるくらいなのに、
人間達はこの野菜の辛味を喜んで食べて、
時にはどれだけの辛さを食べるかとか、勝負したりするらしい。」
「へぇ・・・あ、確かに日本のテレビ番組で、激辛商品を食べて、
それを食べた人の反応を楽しむ番組とかありました!」
「そうそう。最近はネットの動画とかでも、そういうの多いよね。」

15冊目は次にトワに、トウガラシを教えてやってくれてるようだ。
トワは何もかもが興味津々で、目を輝かせていた。
トワのその態度が面白いのか、15冊達は次々に農園にある野菜などを、
教えてくれていたみたいだな。

「よう!作業はどうだ?順調か?」
「あ、12冊目だ。」
「順調ですよ、12冊目。」
「・・・・・」

俺がタイミングを見計らって、トワ達に声を掛けると16冊目と15冊目は
俺の言葉に返事をする。
だが、トワはまだ俺に怒っているのか、俺を見ることもなく、
何も言わずに、じっと別の野菜を見ていた。
トワめ。まだ怒ってるのか・・・困ったなぁ・・・

「トワちゃん。12冊目がお迎えに来たよ?」
「あ、いや、トワを迎えに来たわけじゃないんだ。
俺はトリア先生に言われて、お前達を手伝いに来たんだよ。」
「俺達を手伝いにですか?」
「そうだ。何か困ったことなんかないか?俺もここで暮らしていた時は、
色々な手伝いをしたもんだからな。
もし、困ったことがあるのなら、俺に言ってくれれば、
何かアドバイス出来るかもしれないと思ってな。」

俺は変にトワに関わらないようにして、15冊目達と会話をすることにした。
ここでトワに無理に関わろうとしても、逆に機嫌を損ねるだけなのは、いつものことだからな。
しばらく、俺もトワのことは放っとこう。

「それだったらさ、ベリーあの道具類とか教えて貰ったらどうかな?」
「ああ、あの農作業で使うやつか?」
「ん?何かあるか?」
「ええ、実は・・・」

15冊目達は、俺に聞きたいと思う事を少しずつ聞いてくるので、
俺は丁寧に答えた。
俺でもわからないことは、すぐにネットで検索したりしているうちに、
俺も最近の農作業に使う機械などを見て、すっかり楽しんでいた。
トワも最初は俺から離れていたのに、俺達が楽しそうにしているものだから、
どんどん近づいてきて、ふーんと言った顔で俺の説明を聞いている。
39/86ページ
スキ