第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」
俺が沈黙して、短い間の後でトリア先生は自分の言葉を続けた。
「ごめんなさい。十二。私は貴方にちょっと意地悪な質問をしてしまったわ。
この問題に正解なんて無いでしょうし、だから答えだって1つではないはず。
ただね?最終的にはお互いの気持ちが何よりも大事だと
私は言いたかったの。」
「トリア先生・・・それは俺もわかっているつもりです。」
「そう。ならいいわ。十二は一人前になったんですもの。
私からはこれ以上は何も言わないわ。お互い後悔のない答えが、
見つかることを願っているわね。」
「はい。有難うございます。トリア先生。」
俺はトリア先生との会話が終わって、今度こそトワへの理不尽な怒りが鎮まったと感じた。
俺1人で悶々と怒りを抱えていたって、しょうがなかったのだ。
この問題をきちんと解決したいのなら、俺はすぐにでなくとも
トワと話し合いするほかない。
その結果トワが俺から自立する道を選ぶかもしれないが、
そうなったら俺は喜んで送り出そうと決めた。
どうなるか、まだ何も決まってないのにだけどな。
俺はいつからこんな親馬鹿みたいになってしまったのか・・・
「あ!私ったら、すっかり度忘れしてしまったわ!」
「え?どうされたんですか?!」
トリア先生の明るく間の抜けた声に、俺は何事だ!と身構えそうになってしまった。
俺がトリア先生に何があったのか尋ねると、
トリア先生はうっかりミスをしてしまった自分に恥ずかしがる。
「いえね。大したことではないのだけれど、今夜は十二達はここに泊まるでしょ?
だったら、夕食とかも用意してあげなくちゃなのに、私ったらすっかりと忘れてしまって。」
「な、なんだ。そんな事ですか・・・びっくりした。」
「そんな事ではないわ。とても大事なことよ!久しぶりの十二に出すお食事ですもの!
それにトワちゃんもいるのだから!」
俺が安堵して言うと、トリア先生はちょっとだけ怒る。この感じはキュアートに似ているな。
トリア先生とキュアートは親友だから、似ていてもおかしくないか。
「こうしてはいられないわ!私はお食事の準備をしてくるから、
十二はちゃんとトワちゃんと仲直りするのよ?
もしも、仲直りが済んでいなかったら、私は今日は十二の夕ご飯は無しにします。」
「ええ?!トリア先生!それは勘弁して下さいよ?!」
「うふふ。だったら、十二も農園に行って来なさい。十二の方がここでは大先輩なのだから。
効率の良いやり方なんか教えてあげて欲しいわ。」
「はい。ここは素直にトリア先生の言う事を聞いて、あいつらを手伝って来ます。」
俺はトリア先生に言葉に従い、久しぶりに農園の方に向かう。
農園もトリア先生の家の裏手にあるので、数分もしないで行ける場所にあった。
農園の風景は、全然変わっておらず、実っている作物は違えど、
俺はこの風景を見て昔を思い出し、懐かしい気持ちになる。
トリア先生は育てた家畜や野菜などを、近くの村や町に売って、
自分の喰べる為の本を買う本喰人だった。
前にも話したが本喰人は基本人間の食事と違うからな。
育てるのは好きでも、自分では喰べれない。
ま、トリア先生のあの性格では、自分で愛情かけて育てたものを、
自分が喰べたいとは思わないだろうけどな。
「ごめんなさい。十二。私は貴方にちょっと意地悪な質問をしてしまったわ。
この問題に正解なんて無いでしょうし、だから答えだって1つではないはず。
ただね?最終的にはお互いの気持ちが何よりも大事だと
私は言いたかったの。」
「トリア先生・・・それは俺もわかっているつもりです。」
「そう。ならいいわ。十二は一人前になったんですもの。
私からはこれ以上は何も言わないわ。お互い後悔のない答えが、
見つかることを願っているわね。」
「はい。有難うございます。トリア先生。」
俺はトリア先生との会話が終わって、今度こそトワへの理不尽な怒りが鎮まったと感じた。
俺1人で悶々と怒りを抱えていたって、しょうがなかったのだ。
この問題をきちんと解決したいのなら、俺はすぐにでなくとも
トワと話し合いするほかない。
その結果トワが俺から自立する道を選ぶかもしれないが、
そうなったら俺は喜んで送り出そうと決めた。
どうなるか、まだ何も決まってないのにだけどな。
俺はいつからこんな親馬鹿みたいになってしまったのか・・・
「あ!私ったら、すっかり度忘れしてしまったわ!」
「え?どうされたんですか?!」
トリア先生の明るく間の抜けた声に、俺は何事だ!と身構えそうになってしまった。
俺がトリア先生に何があったのか尋ねると、
トリア先生はうっかりミスをしてしまった自分に恥ずかしがる。
「いえね。大したことではないのだけれど、今夜は十二達はここに泊まるでしょ?
だったら、夕食とかも用意してあげなくちゃなのに、私ったらすっかりと忘れてしまって。」
「な、なんだ。そんな事ですか・・・びっくりした。」
「そんな事ではないわ。とても大事なことよ!久しぶりの十二に出すお食事ですもの!
それにトワちゃんもいるのだから!」
俺が安堵して言うと、トリア先生はちょっとだけ怒る。この感じはキュアートに似ているな。
トリア先生とキュアートは親友だから、似ていてもおかしくないか。
「こうしてはいられないわ!私はお食事の準備をしてくるから、
十二はちゃんとトワちゃんと仲直りするのよ?
もしも、仲直りが済んでいなかったら、私は今日は十二の夕ご飯は無しにします。」
「ええ?!トリア先生!それは勘弁して下さいよ?!」
「うふふ。だったら、十二も農園に行って来なさい。十二の方がここでは大先輩なのだから。
効率の良いやり方なんか教えてあげて欲しいわ。」
「はい。ここは素直にトリア先生の言う事を聞いて、あいつらを手伝って来ます。」
俺はトリア先生に言葉に従い、久しぶりに農園の方に向かう。
農園もトリア先生の家の裏手にあるので、数分もしないで行ける場所にあった。
農園の風景は、全然変わっておらず、実っている作物は違えど、
俺はこの風景を見て昔を思い出し、懐かしい気持ちになる。
トリア先生は育てた家畜や野菜などを、近くの村や町に売って、
自分の喰べる為の本を買う本喰人だった。
前にも話したが本喰人は基本人間の食事と違うからな。
育てるのは好きでも、自分では喰べれない。
ま、トリア先生のあの性格では、自分で愛情かけて育てたものを、
自分が喰べたいとは思わないだろうけどな。