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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

「でねーでねー♪凄い可愛かったんだよ♪トリア先生の育ててる動物さん達♪」
「はいはい、良かったな。」
「むぅー酷い!十二はちゃんと聞いてるの?!!!」
「ちゃんと聞いてるだろうが。もう子供じゃないんだから、少しは落ち着け。」
「十二がそんなに不機嫌そうだから悪いんでしょ!もういいもん!
ベリー君やダイス君と一緒に、トリア先生の農園の方のお手伝いに行ってくるから!」
「あ、おい!こら!」

トワは俺の態度が気に入らなかったのか、プンプンと怒りながら、
15冊達を追って部屋を出て行った。
俺もトワのあの行動を思い出すと、どうしても不機嫌になってしまい、
すぐにでも説教したい気持ちを抑えるのがやっとだった。
こんな時は、お互い距離を取った方がいいな。俺も気持ちを落ち着かせる時間が欲しい。
俺は15冊目達との話し合いを終わらせ、トワとトリア先生が帰ってきて、
入れ替わるように、15冊目達が今度はトリア先生の手伝いで、
農園の方に出掛けて行ったところだった。
トリア先生が言うには、男手が欲しい重労働を、彼らが率先してやってくれるらしい。
俺も過去に、トリア先生のとこで色々な手伝いをしたもんだ。
懐かしいなぁ、こういう生活は。

「あら?トワちゃんはどこに行ってしまったの?
トワちゃんに良い香りのハーブを分けてあげようと思って、
こうして持って来たのに・・・」

トワが怒って部屋から出て行って、数分後にはトリア先生が、俺のいる部屋に、
ハーブを数種類ほど持って戻ってきた。
俺はマズいと思いながらも、トリア先生に返事した。

「トワは15冊達の手伝いをしに、農園の方に行きました。」
「まぁ・・・そうだったの?私と牧場から帰ってきた時には、
十二に動物の話をしてあげるんだって、楽しそうにしてたのに・・・」

トリア先生は俺の顔を、何か探るかのようにじっと見つめる。
これはヤバい。トリア先生なら、俺がトワを怒らせたと、わかってしまう。
俺はトリア先生にバレるのが嫌で、不自然にならないように、
トリア先生の視線からゆっくりと逃れたのだが・・・

「十二はどうしようもない子ね。こんなにも大きく育ったのに。
どうせトワちゃんのあの行動に怒ってるのでしょ?」
「やっぱり・・・トリア先生にはわかりますか・・・?」
「わかるに決まってるでしょ?私は十二やミロ達を小さい頃に大事に育ててきたのよ?
この状況で、十二がこんなにも怒って不機嫌になるなら、
原因はベリー君がダイス君に、あのトワちゃんの行動を
聞かされたくらいしかないわ。」
「はぁ、やっぱり今もトリア先生には敵わないな・・・はは・・・」

俺は降参して、トリア先生に向かって苦笑いしてしまった。
トリア先生は手に持っていたハーブの入った籠をテーブルに置き、
俺が座っている席の反対側の席に座り、俺に怒ることはなく、優しい顔で話しかけてくる。

「十二が心配して、トワちゃんに怒る気持ちもわからなくないわ。
でも、十二だからこそ、トワちゃんの行動を誰よりも理解出来るはずよ?そうでしょ?
貴方が大事に育ててる眷属なのだから。」

俺はトリア先生の言葉を重く受け止めるしかなかった。
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