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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

「トワの事を褒めてくれるのは、俺も嬉しい事ではあるが・・・
それにしたって、本当に唐突だな?
トワがお前達に会うのは、今日が初めてで、しかもまだ出会ってから短時間だろう?
どうして、そんなにトワを褒めてくれるんだ?」
「それは彼女が、12冊目と戦ったことを俺達に謝罪してくれたからです。」
「え?あのトワがお前達に謝罪を?」
「そうだよ。出会っていきなりだよ?僕達に土下座して頭を下げてきてさ。
「十二が戦ったのは、きっと私や仲間達を守る為であって、
本当は貴方達と戦いたいと思ってなかったはずなんです!」
ってさ。」
「トワ・・・あいつ・・・そんなことを・・・」
「それから、こうも言ってました。
「すぐに許してくれとは言いません。でも、どうしても十二が許せないであれば、
12冊目の眷属である自分を好きにしてくれて構わない。
だから、それでどうか十二を許して下さい。」
とも。」
「あの馬鹿・・・なんてことを・・・」

俺はトワの軽率な行動に怒りを覚えた。
これが15冊目達だったから、多分トリア先生がいる目の前で、
行った事だったから良かったようなものの、
もし相手が相手なら、冗談で済む行為ではなかったはずだ。
2冊目側の本だったら、良くて人質か、最悪はすぐにその場で、
喰われていたって文句も言えない。
俺はこの地で、またどうにもならない状況で、今度はトワを失いかけたわけだ。
そう考えると怒りが収まらず、黙ってしまった俺に、16冊目が声を掛けてくる。

「安心してよ?って言い方も変だけどさ。僕もベリーも、トワって子の言葉は真に受けてないし、
謝罪の気持ちだけは、トワって子の手前、有難く貰うけど、
それ以上のことは何もする気はないよ。望んでもないし。」
「ダイスの言う通りです。けど、この話は12冊目。
貴方にしておくべきだと俺達は思ったんです。
トワって子は、とても良い眷属に育ってるようです。
そんなトワって眷属を見たからこそ、俺達は12冊目をすぐに許せました。
貴方と言う本喰人の本質を垣間見ることが出来たからです。
でも、貴方の眷属のトワと言う子は、純粋だからこそ危ない。
12冊目を守る為なら、すぐに自身の命を差し出すようなことも平気でしてしまう。
それが、俺達は心配になってので、12冊目に話しておきます。
今後はその点を注意してあげて下さい。あの子の為に。」

16冊目と15冊目は、穏やかな表情で俺にそう言ってくれた。
損得とかそういうの無しに、トワの事を想って心配してくれてるようだ。
俺は15冊達がこのトワの話をしてくれた事に感謝するしかない。
全くトワめ。俺がいない間に勝手に自分の進退を決めるなんて。
本気も本気で説教してやらなくちゃいけないな・・・
今回こんなにも穏便に済んだから良かったが、もしこれが最悪な事態になれば、
俺以外の本喰人にだってかなりの迷惑が掛かっただろう。
トワが人質に取られれば、二四達やキュアートや師匠も危険に巻き込んだに違いない。
皆が仲間なのだ。きっとトワを助けてくれようとするだろうしな。
トワはそこまで深刻に考えずに行動してしまったのだろうが、相手が相手なら、
もしあの2の奴だったなら、俺達はトワを利用され、全滅させられた可能性も十分にあるのだ。
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