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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

「久しぶりだな。15冊目、16冊目。」
「お久しぶりです。12冊目。」
「久しぶりだね。12冊目。」

俺と15冊目達は互いに短く挨拶をしたきり、またしばらく黙ってしまった。
あの後、トワとゲームを終わらせた彼らと俺は3冊だけで話し合いをしているところだった。
トリア先生は気を使い、トワと家の隣にある牧場に行ってしまった。
多分、俺達だけで話し合いをするようにしてくれたんだな。

「あ・・・そのだな・・・」
「12冊目。俺達は貴方と戦う気はありません。」
「へ?」

俺の言葉を遮り、15冊目はしっかりとした顔で俺に向かって、
そう言った。その顔は真面目なもので、嘘をついてるようには見えない。
その隣いる16冊目も同じように真剣な顔だった。

「あの時は互いに戦いを避けれる状況ではなったのは、俺もダイスも理解しています。
だから、俺もダイスも12冊目を恨んではいません。」
「そ、そうか。なら、俺はとても嬉しいんだが・・・」
「むしろ感謝するべきなんだよね。僕達は・・・
12冊目が、あの戦いの後で僕達を回収してくれた事をさ。」
「別に俺は、お前達に恩を売るつもりでしたわけじゃない。
ただ、あの2の奴に動けなくなったお前達をあれ以上悪用されるのが、
心の底から許せなかっただけなんだ。」
「噂には聞いていましたが、12冊目は本気で2冊目が嫌いなんですね。」
「好きになれるわけがないな。あいつは俺の親友の仇なんだ。
36冊目のな。」
「へぇ・・・」
「そんな事情があったんですか。」

俺が2冊目は36冊目の仇だと言うと、15冊目達は同情してくれる雰囲気になった。
この調子なら、もう互いに憎み合うことは無さそうだな。
それにこいつらにとって大事な存在はキュアートのとこにもいるわけだし、
俺達がもう敵対する必要はないはずだ。

「思ったんだが、お前達の外見は若干幼い感じになっているんだな。」
「はい。トリア先生が言うには、まだ完全に回復が出来てないからだろうと言ってました。」
「だから、ここでしばらく静養して、質の良い食事をしていけば、前の姿に戻れるってさ。」
「そっか。ならいい感じではありそうだな。」

俺は15冊目と16冊目を交互に見比べた。俺と戦った時は、成人した姿だったが、
今目の前にいる彼らの外見は、トワと同じくらいの年齢に見えた。
それもあったから、トワはこいつらを気軽にさっきのゲームなんかに
誘ったのかもしれないな。
二四やゴートンは先に大人の姿に成長してしまったからな。
トワからしたら、また同じくらいの外見の15冊目達に、親近感を感じたのかもしれない。

「唐突かもしれませんが、12冊目は良い眷属をお持ちですね。」
「え?トワのことか?」
「うん。そのトワって子さ。」

俺はまさか15冊目達から、今度はトワの話を持ち出されて、情けない声を出し掛けた。
良い眷属とかいきなり言われて、俺も正直戸惑う。
どうして15冊目達はそんな話をしてくるんだ?
トワが何かしたのか?
俺は平然としているように見せていたが、内心は動揺していた。
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