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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

俺はミロを失う事になった、遥か昔に一緒に旅立つ為に、待ち合わせ場所にしていた、
あの木がある広場に来た。
一歩ずつ近づく度に、息が止まりそうな苦しい気分になるのを必死に堪え、俺はようやくと、
その木の側に立って、しっかりと木を見上げた。
片腕には大事にミロの身体の一部が入った箱を抱きしめて。

「こんな形で里帰りすることになって、ごめんな。ミロ。
でも、どうしてもさ、一緒に来たかったんだ。お前とここに。
まだお前を完璧な姿に戻せてはやれてないけど、俺はこの場所で、もう一度誓うよ。
絶対にミロを元の完璧な姿に戻すって。それで、もし俺が・・・
俺でいることが出来たら、
あの日叶わなかった約束を・・・一緒に世界を巡るって約束を
果たさせてくれ・・・」

俺は誰かに聞かれているかもしれないのに、それでも構わずに、ミロに言った。
今のこの姿のミロが、俺の言葉を聞いてくれているかは、正直わからない。
それでも俺は、ミロに誓いたかった。この場所でだ。
この場所でなければ、俺には意味がないとさえ言ってもいい。
俺はミロに言いたい事を言った後は、静かにこの場所に留まった。
30分くらいは、トワ達も会話が終わりそうにないだろうから、
俺はこの場所で、のんびりさせて貰おうと考えた。

「そう言えば・・・トリア先生の元には15冊目と16冊目がいるはずだよな?
ついさっき家に居た時には、あいつらの気配を感じることがなかったが、
どっか別の場所にいるのか?それとも、キュアートの方にもう行ったか?」

俺は15冊目達のことを思い出して、トリア先生の家に居なかったのを考えてみた。
もし、トリア先生のとこで再会することになれば、俺はどんな風にあいつ等に接すればいいのか悩む。

「お互いに事情があって戦ったわけだしなぁ・・・変にいきなり俺が謝罪するのもだし・・・
向こうが俺をまだ憎んでいたとしたら、どうすればいいのか・・・
ミロ・・・俺はどうしたらいいんだろうな。」

俺はついミロに相談してしまった。箱を大事に抱きしめると、
気持ち的に箱が暖かく感じる気がした。

「もしかして・・・何も心配しなくても、大丈夫だって教えてくれているのか?ミロ?」

もちろん返事などあるわけがない。だが、俺はそんな雰囲気を感じ取った気がした。
ミロが眠っている箱を抱きしめていると、不思議と穏やかになれる自分がいた。
この場所に、俺達の故郷に帰って来たから、尚更感じるのか?
上手に説明出来そうにない現象だったが、俺は心地良かった。
こんな姿になっても、俺の親友のミロは、励ましてくれている。
そう思うだけで、どれだけ今の俺が救われるだろうか。
他人に言えば、馬鹿馬鹿しいと鼻で笑われるかもしれない。
だが、他人の意見など俺にはどうでもいい。
今の俺は、ミロの回復とトワの後の幸せを考えることが、最優先なのだから。
その前に、2の奴と決着をつけなければならないがな。
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