このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

「そうだわ。私達ばかり会話して、十二の眷属の話を聞いてないわね。
えっと、貴女のお名前は?」
「あ、はい!私の名前はトワです!3冊目様!」

ミロとも再会して貰った次に、3冊目はトワの存在を気遣ってくれて、
トワに優しく声掛けをしてくれた。
トワは緊張しながらも、3冊目の質問にしっかりと答えた。
俺の育ての親と言う事で、トワも凄く緊張しているようだ。

「あらあら。3冊目様だなんて、堅苦しい呼び名はしなくていいのですよ。
私の事は出来るのなら、トリア先生と呼んで欲しいわ♪
もちろん、十二もよ?もう報告も済んだのなら、昔の様に呼んで欲しいわ。」
「わかりました。トリア先生がそれでいいのなら、昔の様に俺も呼ばせて貰います。」

3冊目ことトリア先生は、昔と何も変わらない優しい笑顔で、俺達にそう言ってくれた。
そのおかげで、トワも緊張感が少し解れたみたいで、トリア先生からの質問に、
元気良くはきはきと答える。
そんなトワの姿に、トリア先生も嬉しそうだ。

「十二も眷属を持つようになったからには、しっかりと成長していますね。
トワちゃんと会話してみて、それが実感出来ました。
眷属を大事に育ててくれる側の本喰人になってくれて、私は嬉しいですよ。」
「俺はトリア先生に育てられた本ですからね。2冊目みたいな扱いなんて、絶対にしませんよ。」
「十二・・・そうね・・・。貴方なら特によね。」

トリア先生は俺の言葉を聞き、一瞬だけ悲しそうな顔をしたが、
すぐに優しく微笑み直して、俺の言葉に同意してくれた。
何で少しだけ悲しそうな顔をしたのだろうか・・・
俺は何か引っかかるものを感じたが、ここでは何も言わないことにした。

「トリア先生!実は私、トリア先生に日本の物をお近づきのしるしに持ってきたんです♪」
「まぁ!どんな物でしょうか?」
「えへへ!ちょっと待ってって下さいね!」

トワはそう言うと背負っていた可愛いデザインのリュックから、
あれやこれとその品物を取り出した。
俺に何も相談もしないで、勝手にトリア先生に土産を持って来ていたのか。
通りでやたらトワは荷物が多いと思ったんだ。

「えっと、まずはこっちは桜の紅茶と桜のエキスが入ったハンドクリームに、
こっちは京都で買った舞妓さんシリーズの・・・」
「へぇーこれはまた沢山持って来てくれたのですね♪」

恐るべしトワ。トリア先生も女の本だけあってか、トワの土産にはどれも興味津々だった。
あんなに違う意味で嬉しそうな先生を見るのは、俺も数度しかない。
トリア先生はトワと一緒になって、楽しそうに女子トークと言うやつを始めてしまった。
こうなったら、トワの土産の説明が終わるまでは、何も会話が出来そうにないな。
俺はやれやれと思いはしたが、ワイワイと楽しそうに会話する2冊達に断ってから、
トリア先生の家を出て、例の場所に向かった。
俺にとっては、最もトラウマである、あの場所に。
30/86ページ
スキ