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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

「遠くの国から、遥々とよく来てくれましたね。十二。
本当に長い間で久しぶりのことだわ。元気そうで安心しました。」
「3冊目。本当にお久しぶりです。あの事件以来の再会ですね。
育てて貰った恩があるのに・・・ろくに挨拶にも来ず、申し訳ありませんでした。」
「いえ、何も気にすることはないのですよ。あの件で、貴方がどれだけ辛い思いをしたかは、
私も十分に分かっていますから。
でも、十から色々と聞きましたが、やっと長年の過去の因縁が
最近になって清算されたようですね?」
「はい。18冊目とは、きっちりとけじめをつけさせて貰いました。
一緒にここで育った間柄ではありましたが、俺はどうしても、あの時の事が許せなかった。
それに、長年ぶりに再会した時も、18冊目の性格は最悪なままだったと感じました。
俺が戦って勝てなければ、24冊目と50冊目がどうなっていたか、わかりません。」
「なるほど。十二は、24冊目と50冊目を守る為にも、18冊目と戦ったわけね?」
「結果的にはそうなったと言うべきかもしれませんが。」
「うふふ。十二はここに居た時からそうだったわね。
自分の為よりも、最終的には他人の為に行動する。私はそんな十二を誇りに思います。」
「そ、そんな・・・俺なんて、まだまだですよ。」

俺達は、いくつかの村や街を経由して、3冊目がいる村まで、やっと無事に辿り着いた。
十の言うように、3冊目が今でもいる村は、少々変わった場所もあるものの、
昔ながらの景色が残ってる場所も多かったので、
俺はすぐに3冊目の家の場所を思い出すことが出来た。
そして、3冊目に暖かく迎い入れられ、今は3冊目と穏やかに会話中である。

「18冊目は・・・あの子は2冊目に悪知恵を与えられてしまったから、
あんな性格になってしまった。私がもっと注意してあげれば良かったの。
いえ、しっかりと注意すべきだったわ。」
「仕方がありませんよ、3冊目。2冊目が悪い部分もあるかもしれませんが、
18冊目だって悪いんです。きっと3冊目が注意し、説得したとしても、
たぶんあの時には、もう言う事を聞くような性格じゃなったですよ。」
「十二・・・それでも・・・私は後悔はしているわ。
もっと私にも出来ることがあったんじゃないかって。」

3冊目は俺と会話しながら、多分ミロの事を思い出し、悲しい顔をしていた。
俺もミロを失い悲しみに打ちひしがれていたが、それは3冊目だって同じ気持ちだっただろう。
あんな無残に殺される為に、ミロを大事に育てたわけじゃないのだから。

「けど、3冊目。そこまで悲しまないで下さい。ミロはまだ完全に消滅したわけじゃないんです。」
「え?」
「実はミロの本体の一部は、俺が18冊目の身体から、回収することが出来たんです。
それで今は特殊な箱に入れて、大事に保管してあります。」
「まぁ!それは!なんて奇跡なの!」
「はい。俺もそう思います。」

俺のこの報告を聞き、3冊目の顔に少し明るさが戻った。
俺は能力を使い、ミロが大事に保管されている箱を取り出し、
その箱を3冊目に渡した。
3冊目は、俺からその箱を受け取ると愛しそうに箱を撫でる。
まるでミロ本人の頭を撫でるかのように。
良かったなミロ。お前も無事に3冊目と再会出来たな。
俺はそう思い、少しだけ心が救われた気がした。
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