「四四の同意を得ずに、彼らと戦った事は悪かったってばー
だからいい加減、私を許してくれないかい？四四？ね？ね？」
「知りません！四堂が、あそこまでするなんて！私は信用してたのに！失望しました！ふん！」
「うぅ・・・もう四四は怒ったら、本当に頑固だからなぁ・・・
お前達も一緒に説得してくれないか？」
「はぁ・・・」
「と、言われましても・・・」

激怒している私と、困惑している四堂を目の前にして、ゴートンも二四も、
どうにも出来ずに、ただただ唖然として、私と四堂を見守っていた。
変に口出しするべきではないと感じたのだろう。
私だって、こんなに四堂に対して怒ったのは久しぶりの事だった。

「四四ちゃんって、普段はあんなに穏やかで優しいのに、４冊目には、
子供みたいに怒るんだね・・・」
「４冊目に育てて貰ったと言ってたし、それだけ４冊目には信頼があったんだろうさ。
なのに、何も知らされずに私達と戦ったから、怒ってくれているんだよ。」

ゴートンと二四は、私に聞こえてないつもりで、ヒソヒソと耳元で囁き合っていたが、
私にはしっかりと聞こえていた。
激怒している今の私は、すっかり地獄耳にもなっていたようだ。
私はジロリと睨むようにゴートンと二四を見てしまった。
２冊達は気まずそうにして、黙ってしまう。
彼らは何も悪くないと、ちゃんとわかっているのに、私は何をしているのだろう？
これも何もかもが四堂の所為だ。

「はぁ・・・困ったなぁ。四四には。私はお前を育てた親みたいなものなんだよ？
大事な娘のような存在である四四と、今後共に行動する奴らの実力を
見たいと思っても、しょうがないと思わないかい？」
「だからって・・・私が試練中にしなくなって・・・」

私は四堂の言葉に、どうしても賛同出来ず、途中で口籠る。
四堂は、確かに心配してくれているだけなのだ。私の為だけに。
けど、そうであったとしても、私の大事な友達達を無闇に
傷つけるようなことだけはして欲しくなった。
いくら彼らの実力を見たいのだとしてもだ。

「四四ちゃん・・・その辺にしてあげたら？
僕達は別に何も怒ったりしてないよ？」
「そうだよ、四四。４冊目は、純粋に君が心配だったんだよ。
それに４冊目は何も間違ったことはしてない。君の事を
私達に託せるのかどうか、言葉だけでは信頼出来ないのは当然だよ。」
「ゴートン・・・二四・・・うぅぅう・・・」

私は自分のどうにも出来そうにない感情に、最後は泣いてしまった。
誰も何も悪くないのだ。実際のところは。
それぞれにしなければならないことであったのだ。
それを私は小さい子供のようになって、四堂を理不尽に責めているだけにすぎない。
こんなことに、明確な答えなどないのに・・・

「四四・・・その・・・そろそろ許してくれるかい？」

私が数分間、ぐずって泣いた後で、四堂は恐る恐ると言った感じで、私に尋ねてくる。
私は静かに頷き、四堂の事を許した。
その瞬間に、四堂を始め、二四とゴートンでさえも安堵したのか、ホッとした顔になる。
私ったら、嫌だなぁ・・・こんな子供っぽいことをしてしまうなんて。
恥ずかしくて、目の前に穴があるなら、すぐにでも入りたい気分になってしまった。
こんな私の所為で、四堂から貴重な話を聞けるチャンスを逃すわけにはいかないのに。