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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

「ん?あれ?これって・・・?」

私は警備日誌に違和感を感じて、表紙を開いてみた。
すると、そこには今までに無かったはずの鍵が挟まっていた。

「この試練を無事にクリア出来たら、最後にこうして鍵が出現する
手筈になってたみたいですね。」

私は鍵を手に取り、その鍵を持って、最初に入った扉に戻ろうとした。
そしたら、今まで姿を消していた四堂の式神が再び現れ、
試練をクリアした私を称賛し始めた。

「いやー四四♪おめでとう!無事に私の試練に合格したようだね♪
しかも、あの懐中電灯の仕組みに、ちゃんと気づいてくれて嬉しいよ♪」
「四堂・・・貴方と言う本は!」

私は早速、意気揚々と姿を現した四堂に怒って抗議した。

「私の成長を見る為の試練とは言え、あんな良い人達を巻き込んで、
あんな仕掛けを作るなんて、酷すぎます!
四堂は人の魂を何だと思っているんですか!非道すぎます!」
「そ、そんな・・・四四。あれは本当の人間じゃないよ?」
「え?」
「モデルにした人物は確かに彼らだけど、あれは本当の人間じゃないよ?
私が作り出した偽物。最後にちゃんと成仏したから、本物と勘違いしたのかな?
だったら、最後の最後で私は四四を見事に騙せたってことかな?
それはそれで、私は嬉しいけどね。」
「むぅ。あんな精巧な偽物なんて・・・今の私では、まだ見極められません。」
「そうか♪でも、あれくらいの偽物なんか、今後2冊目と戦っていくなら、
いくらでも出してくると思うよ?ちゃんと肝に銘じるんだね。四四?」
「うぅ・・・わかりました。二四やゴートンにも教えておきます。」
「いや!あいつらに教える事なんかない!四四だけが知ってればいいんだ!」
「もう・・・四堂はここにきて、そんな事言って・・・」

私は四堂の式神に向かい、心底呆れた。無事に試練をクリア出来て、
疲れた私を更に疲れさせる言動を平気でする。
だから、四堂の事を心の底から、尊敬出来ないのだ。
ここでカッコよく、頑張ったね。とでも言ってくれればいいだけなのに。
どうしてそれが出来ないのだろうか・・・

「心優しい四四の為に、本当の彼らの生涯を教えてあげるとね。
2人とも最後まで、私の会社で真面目に働いてくれて、平穏無事に退職したよ。
だから現実、あんな事件なんか起きてない。
あの事件は私が四四を試す為に作った話さ。でも、緊張感あって、
面白かっただろう?」
「ええ。まぁ・・・それなりには・・・」

私は少し不貞腐れながら、四堂の話に答えた。
正直、面白いと言う部分には反対したい気持ちがあったが、そこでそれを言うと、
四堂はムキになって、面倒くさい展開になりそうだったの言わないことにした。
面白くないなどと言えば、それを分からせる為に、長時間に渡り、
今回の試練で、仕掛けた罠の説明を事細かにすることだろう。
こんな疲れた状態で、そんな説明など私は受けたくはない。
私は適当に四堂の話を聞きながら、最初に入った扉に向かった。
朝方になってしまったが、早く泊まっていたホテルに帰らなければ、
二四とゴートンが心配して私を探してしまうかもしれない。
私は彼らに迷惑は掛けたくなかった。
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