第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

「八百代さん!諦めないで下さい!」
「え?」
「木本さんは、私ではきっとあんな反応はしません。確かにさっきは怒ったかもしれないけど、
それでも貴方の言葉には確実に反応しています。
だから、諦めずにもっと多くの言葉を掛けてあげて下さい!」
「でも、そうしたら貴女にまで危険が・・・
あいつは私を攻撃して来たんですよ?」
「私の方は心配しないで大丈夫です!この状況で説明するのは難しいですが、
私には特殊な力があるので、自分の身を守る事は出来ます!
それから、木本さんを貴方の側に近づけさせないようにしますから!
だから、私を信じて木本さんに言葉を掛け続けて下さい!」
「わ、わかりました!確かに貴女には、変わった力があるようだ。
さっきの私の身代わりを出したり、私をこの警護日誌に憑依させたりとかしてますからね。
だから私は貴女を信用します!」

八百代は絶望から立ち直り、親友を今一度見直した。
そう親友を救えるのは自分と私しかいないと再認識したのだろう。
それは私も同じ気持ちだった。この木本と言う人だって、四堂とは仲が良かったと聞いた。
ならば、そんな人間を苦しめながら無理矢理に成仏なんてさせたくなかった。

「では、私は木本さんの動きを出来るだけ抑えるようにしてみます!
なので、八百代さんはまた木本さんへの声掛けをして下さい!
私が仮に傷ついたりしても、気にせずにですよ!!!」
「はい!わかりました!」

私達はお互いにしっかりとそれぞれのやるべき行動を確認して、木本に立ち向かった。
私は呼び出した式神達と一緒になって、木本を撹乱する。
木本は私達の行動に激怒しながら、攻撃をして来るが、私達はそれを器用に避け続ける。
八百代の方に行きそうになれば、それを全力で阻止して、
私達の方にまた意識が向くようにした。

「木本!止めろ!女の子に手を出すなんて!お前は野蛮な行為だと嫌っていただろう!
頼むから、あの頃の穏やかなお前に戻ってくれ!木本!!」
「ぐぬぬぬぬぅ!ぎぃいいいい!!!やめろ゛ぉお!!!」

八百代の言葉に、木本はまた苦しみ出した。そのおかげで、木本の攻撃は鈍くなっていく。
徐々に怒りよりも、苦しみの方が勝っていくようだ。
八百代の言葉のおかげで、木本は理性を揺さぶられているのかもしれない。
私は木本をどうにか、もっと安全に抑えられないかと、模索してみることにした。
上手に拘束さえ出来れば、私も八百代もゆっくりと木本と話せると思ったのだ。

「式神達で、どうにか木本さんを拘束出来れば・・・
え?どうして?そんなことって・・・」

私は木本を拘束しようと能力を試してみた。しかし、式神達が木本の身体を触ろうとすると、
攻撃されたりしてるわけではないのに、弾かれていた。
じっくりと観察してみると、木本の身体はうねうねと動く影に守られているようで、
その影が私の式神が側に寄ると攻撃して弾いている。
私はその光景を見て、あのゲームを思い出した。
四堂が過去に物凄くお勧めして来た、ある小説家が闇の存在と戦うゲームを。
私はもしかして?と思い、最初にこの建物に入った時に四堂にも
言われて拾った懐中電灯を握りしめた。
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