このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

「実は、八百代さんに会う前に、地下室で人の形をした影のような存在に会いました。
でも、その影の存在はかなり凶暴で、私に攻撃をしてきたりした程です。
人としての理性はほぼない感じでした。」
「なんと・・・まさか木本は怨霊に?」
「絶対とは言い切れませんが、もしあの影の存在が木本さんなら、
怨霊になられてしまったと言っていいかもしれません。」
「そんな・・・木本は、あいつは・・・」

私の言葉を聞いて、八百代は辛そうな顔をする。
このまま放置し続ければ、いずれは木本の怨念が八百代にもいってしまうかもしれない。
そうなったら、八百代もあの影のような存在に変わってしまう可能性がある。
私はそれを阻止しなくてはと思った。
となれば、またあの地下室に行くしかない。

「八百代さん。私はもう一度、あの地下室に行こうと思います。」
「え?ですが、貴女の話の通りなら、木本は危ない存在になってしまったのではないのですか?」
「確かに危険に近い存在になってはいます。けど、このまま放置してても、
八百代さんはこの場から解放されることはありませんし、
貴方までもが、向こうの怨念に感化されて、怨霊になってしまう可能性も考えられます。」
「な、なるほど・・・私も無事では済まないと言うわけですか・・・」
「ええ。だって、もし木本さんの執念か何かで引き寄せられたのなら、
何かしらの影響は出ると思いますから・・・」
「確かに、そう言われたら、貴女の言う通りかもしれませんね。」

八百代は、私の言葉に納得してくれた様子だった。
こうなれば、八百代を説得して、協力者になって貰い、一緒に怨霊化してしまった、
木本をどうにかするしない。
きっとこれが、次の四堂からの試練だと思っていいだろう。

「八百代さん、お願いがあるのですが、私の願いを聞いてくれますか?」
「貴方の願いですか?こんな幽霊になってしまった私ですが、
どんな願いでしょうか?」
「一緒に地下室に行って貰って、その影の存在に会って貰えませんか?」
「私も一緒に?!私を地下室に連れて行ってくれるのですか?!」
「はい。それが今一番に出来る最善の策だと思うのです。
もし、その影の存在が木本さんと言う方なら、八百代さんに会えば、
もしかしたら私と違った反応を示すかもしれない。
少しは理性を取り戻してくれるかもしれないです。」
「確かに、そうですね。私は貴女が私をここから連れ出してくれるのなら、大歓迎ですよ。
私も本当はずっと別の場所に移動して、木本の存在を探したかったのです。
けど、幽霊になってしまった私1人では、どうする事も出来なかった。
だから、ぜひ私からもお願いします!その影の存在に会わせて下さい!」

八百代は何の迷いもなく、私にはっきりとそう告げた。
亡くなられたはずの存在の八百代からは、生者と同じような熱意が感じられた。
私は嬉しくなって、少しだけ八百代に微笑み、頷いて承諾した。
これでまた展開が先に進めそうだ。今度は心強い仲間も出来て。
18/86ページ
スキ