第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」
「貴方は、警備室にあるラジオから、何かを訴えていた人ですか?」
「そうだ・・・」
私の質問に、この幽霊の男性は、すぐに答えて頷いた。
そして、しっかりした眼差しで自身の自己紹介を私に始めた。
最初の虚ろな目ではなく、態度も毅然としている。
「私はこの建物の警備を任された者で、八百代(やおしろ)と言うものだ。
どうやら自分は、あの件に未練があって地縛霊と言う存在になってしまったらしい・・・」
「あの件?それは、どんなものですか?」
「それは・・・」
私が八百代と名乗った幽霊の男性に、あの件の事を聞くと、
八百代は顔を歪めて黙ってしまう。
未練を抱き、自分が地縛霊にまでなってしまった話だ。
気軽に話せる話ではないのだろう。私は、八百代が話すまで、静かに待った。
「自分が幽霊になり、かなりの時が経ってしまった。
最近では、あの件についても、未練がありながらも、私の記憶は曖昧になってきている。
それでも、私の話を聞いてくれるか?」
「はい。」
私は迷わずにすぐに即答した。八百代は少し驚いた顔をしたが、
それでも、私が即答したのが嬉しかったのか、表情が穏やかになった。
八百代は地縛霊ではあるが、悪い霊ではなさそうだと、私は確信した。
現段階では、敵になることはなさそうだ。
「この建物は、ある海外の裕福な2人の人物によって作られた貿易会社で、
西洋の美術品や薬の材料なども仕入れて、日本に売っていた会社だった。」
「そうなのですね。」
この話は、四堂が言っていたのと同じようだ。と私は心の中で確認した。
「社長はドイツ人の方で、1度だけ日本に来たくらいだったか?
実質の経営は中国人のあの方がされていたんだ。
確か・・・名前は日本語の呼び方で肆本院(しほういん)様だったかな?
変わった性格の方だったが、商売の才は、まさに天才的で、流行を読んで、
売買されている様は、まるで未来がわかっているのではないか!と
当時は噂される程だった。
それから日本語も凄くお上手な方だった。」
「へぇ・・・」
私は四堂の苗字が出て来て、一瞬だけ眉がピクっと動いてしまったが、
八百代の前では初めて聞く話だと言う態度を守った。
本喰人であるのなら、いくらだって才能があるように見せられるだろう。
その手の必要な本を喰べればいいだけなのだから。
それに、他に困ったことがあっても、上巻クラスの本喰人だ。
長年の経験と、能力があれば、異国で商売するくらい、大した苦労はしなかっただろう。
それにしても、あの四堂が2冊目と一緒に日本で商売してたことが、
私には何よりも驚くべきことだった。
「それもあってか、この会社は良く儲けてね。私もいい額の給料を貰ったものだ。
それと肆本院様とは、趣味が読書と言うのが一緒だったのもあり、
しがない警備員の私なんかにも良くして下さったものだ。」
「それは・・・良かったですね。」
「ええ。あの時は、本当に楽しかった。仕事仲間で親友でもあった、
あいつにあんな事さえなければ・・・」
八百代はそう言うと、悔しそうな顔をして、自分の唇を噛んだ。
どうやら、ここからがあの件の話になるようだ。
私も次の話が始まる前に、手にした赤い表紙の警備日誌を、
しっかりと握り、気合を入れていた。
一体、この八百代と言う男性の幽霊に何があったのだろうか?
「そうだ・・・」
私の質問に、この幽霊の男性は、すぐに答えて頷いた。
そして、しっかりした眼差しで自身の自己紹介を私に始めた。
最初の虚ろな目ではなく、態度も毅然としている。
「私はこの建物の警備を任された者で、八百代(やおしろ)と言うものだ。
どうやら自分は、あの件に未練があって地縛霊と言う存在になってしまったらしい・・・」
「あの件?それは、どんなものですか?」
「それは・・・」
私が八百代と名乗った幽霊の男性に、あの件の事を聞くと、
八百代は顔を歪めて黙ってしまう。
未練を抱き、自分が地縛霊にまでなってしまった話だ。
気軽に話せる話ではないのだろう。私は、八百代が話すまで、静かに待った。
「自分が幽霊になり、かなりの時が経ってしまった。
最近では、あの件についても、未練がありながらも、私の記憶は曖昧になってきている。
それでも、私の話を聞いてくれるか?」
「はい。」
私は迷わずにすぐに即答した。八百代は少し驚いた顔をしたが、
それでも、私が即答したのが嬉しかったのか、表情が穏やかになった。
八百代は地縛霊ではあるが、悪い霊ではなさそうだと、私は確信した。
現段階では、敵になることはなさそうだ。
「この建物は、ある海外の裕福な2人の人物によって作られた貿易会社で、
西洋の美術品や薬の材料なども仕入れて、日本に売っていた会社だった。」
「そうなのですね。」
この話は、四堂が言っていたのと同じようだ。と私は心の中で確認した。
「社長はドイツ人の方で、1度だけ日本に来たくらいだったか?
実質の経営は中国人のあの方がされていたんだ。
確か・・・名前は日本語の呼び方で肆本院(しほういん)様だったかな?
変わった性格の方だったが、商売の才は、まさに天才的で、流行を読んで、
売買されている様は、まるで未来がわかっているのではないか!と
当時は噂される程だった。
それから日本語も凄くお上手な方だった。」
「へぇ・・・」
私は四堂の苗字が出て来て、一瞬だけ眉がピクっと動いてしまったが、
八百代の前では初めて聞く話だと言う態度を守った。
本喰人であるのなら、いくらだって才能があるように見せられるだろう。
その手の必要な本を喰べればいいだけなのだから。
それに、他に困ったことがあっても、上巻クラスの本喰人だ。
長年の経験と、能力があれば、異国で商売するくらい、大した苦労はしなかっただろう。
それにしても、あの四堂が2冊目と一緒に日本で商売してたことが、
私には何よりも驚くべきことだった。
「それもあってか、この会社は良く儲けてね。私もいい額の給料を貰ったものだ。
それと肆本院様とは、趣味が読書と言うのが一緒だったのもあり、
しがない警備員の私なんかにも良くして下さったものだ。」
「それは・・・良かったですね。」
「ええ。あの時は、本当に楽しかった。仕事仲間で親友でもあった、
あいつにあんな事さえなければ・・・」
八百代はそう言うと、悔しそうな顔をして、自分の唇を噛んだ。
どうやら、ここからがあの件の話になるようだ。
私も次の話が始まる前に、手にした赤い表紙の警備日誌を、
しっかりと握り、気合を入れていた。
一体、この八百代と言う男性の幽霊に何があったのだろうか?
