第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

引き続き、警備室の中を調べて、金庫を開ける為の暗証番号を探す。
そのついでに、欲しかった建物内の詳しい地図も探し出した。
けれども、金庫を開ける為の暗証番号はなかなか見当たらない。
それらしいヒントさえだ。

「うーん・・・もっと書類関係を詳しく見た方がいいでしょうか?
またメモ紙のような物に書かれて、すぐにわかる場所にあると思ったのに・・・」

私が頭を悩ませていると、金庫の側にある机の上の古びたラジオがいきなり電源がつき、
静寂だった警備室内にザーザーと耳触りな音が鳴り出した。
私は何事かと思い、つい咄嗟に身構えた。
年代物のラジオは、レトロな感じで、そういう物が好きな人には、
良いコレクションになりそうだが、今の私には不気味な物でしかない。
四堂の仕掛けた罠だからこそ、訳があって今、動き出したのだろう。
そうでなければ、ちゃんと整備しなければ使い物にはならなそうな外見のラジオだった。
私は敵などの存在にも警戒しながら、ラジオを観察する。

「ザー・・・わた・・・しは・・・ザー」
「?」

私はラジオから、何者かの声が聞こえてくるのに気づき、
その声をしっかりと聞き取ろうとして、息を殺し、静かにした。

「やったのは・・・ザー・・・私じゃない・・・ザーザー
なのに・・・ザー誰も信じてくれない・・・ザー・・・」

砂嵐のような音に交じり、男性の声がラジオから聞こえてきていた。
ラジオから聞こえてくる男性の声は、悲壮感のある恨みがましい声で
言葉が途切れ途切れではあるが何かを訴えている。
私は男性が何を言いたいのか、聞き取りたくて、更に意識を
集中させて耳を澄ませた。

「屋上に・・・ザー・・・がある・・・誰かいるなら・・・ザー
来て欲しい・・・ザー・・・私の無念を晴らして・・・ザーくれ・・・」

と、最後にこの言葉が聞こえて、ラジオからの音は全てプッツリと切れた。
私は急いでラジオの元に駆け寄り、ラジオを触ってみたが、電源が再び入ったりなどはしなかった。
私の予想通り、四堂の仕掛けで、一時的に動いていただけのようだ。
警備室はまた再び静寂に包まれる。
敵の気配などはないようなので、私は安堵した。

「これは次の金庫の暗証番号を知る為には、先ほどのラジオからの声に、
応えるしかなさそうですね。
だから、いくら探しても、ヒントすらなかったのかな?」

でなければ、あんなラジオの細工は不要なもののはずだ。
私は手に入れた地図を見て、屋上への道を確認する。
警備室から、そんなに遠くない場所に屋上へ行ける階段があるようだ。
最初に行った地下へ行く階段とは違う場所にある階段のようだ。

「四堂のこの試練は、意外にもしんどそうなモノかもしれない。
二四とゴートンが心配する前には、終わらせることが出来ればいいのだけれど・・・」

私は気が重くなりながらも、屋上へ行く為に、急ぎ足で屋上への階段に向かった。
私の帰りが遅くなれば、二四やゴートンに変な心配を掛けてしまう。
それだけは、回避しなくてはと、私は本気で思った。
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