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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

私と上の階へ戻る為の階段に陣取っている敵とで、睨み合いが数分続いた。
他にも上の階へ戻れる手段がないだろうかと、考えもしたが、
この現状で変に動くのも不安に思い、結局は何も出来ずにいた。
敵はずっと私に向かって、低い声で唸るままだ。

「このまま、ここにじっとして居ても、しょうがないのはしょうがないんですが・・・
どうしたらいいのもやら・・・」

私は静かに、敵には見えないように、手を背後に回して、式神をまた数体召喚した。
敵は、私が式神を呼び出したことには気づいた様子はない。
私が呼び出した式神達は、私の背に隠れて、私の指示を待つ。

「敵がゾンビとか、わかりやすいモノだったら、私もすぐに対応出来たのに・・・」

私は、ついボソっと愚痴を漏らしてしまった。
影で出来た人型の敵。見た目だけでは、どんな敵なのか判断が難しい。
ただ、知能は低そうなものの、すぐに襲ってくる感じがないので、
好戦的なタイプではなさそうだ。
自分の目の前にいる、今の敵はだが。

「さて、では私も行動しないとですね。」

私は作戦を決めて、行動を開始することにした。
のんびりもしてはいられない。もしかしたら、時間制限がある罠かもしれないからだ。
私は、ゆっくりと敵に近づく。敵も私が動き出したことで、
更に警戒し、私を威嚇するようなポーズを取り出す。
一定の距離まで、私が近づいたら、襲って来るのは間違いない。

「まずは、これから試してみますか・・・」

私は呼び出した式神の1体を、敵とそっくりな姿にして、私の横に出現させた。
敵は一瞬だけ驚き、唸るのを止めて、自分と同じ姿の式神をじーっと見た。
私は更に、その式神だけを敵の側に移動させたが、近づいた瞬間に、
敵は自分と同じ姿の式神に、躊躇することもなく長い爪で切り裂くような攻撃した。
式神は本体のお札が裂かれて、姿を保つことが出来ずに消えた。

「どうやら、仲間意識みたいなのとはなさそうですね・・・
では・・・次は・・・」

私は次に、自分と同じ姿をさせた式神を数体出した。
そして、どれか本体か、わからなくなるように、自分の位置を動かした。
これには、敵も困惑したのか、私と私と同じ姿の式神達を見比べ、
もっと低い声で唸りながら、激しく威嚇する。
こうなると、いつ攻撃されるか、もうわからない状況だ。
しかし、敵には私と式神をすぐに見破る能力はないようなので、
私は少しだけ安堵した。
そうなれば、後は式神を使って、この敵を撹乱しつつ、
私が上の階に戻れれば、まずは第一の難関はクリア出来そうである。
出来るなら、上の階まで追跡してくる敵でなければ、
尚いいのだが・・・どうだろうか?
四堂の性格も、しつこいから、この敵もしつこいかもしれない。
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