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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

「この場所がそうですか?」
「うん。ここが、私が四四に教えたかった場所で間違いないよ。」

あの後、私は四堂の試練を受けると、はっきりと意思を示し、四堂の式神に従い、
四堂が教えたがっていた場所に辿り着いた。
そこはレンガ造りの古い建物で、私が見た限りでは、何の建物かは判断出来なかった。
ただ、古い建物であっても、建物が丈夫だったのか、管理がしっかりされていたのか、
酷く荒れている様子もない。

「この建物は、何の建物なんですか?四堂?」

私は周りを気にしながらも、私の側にいるであろう四堂の式神に聞いてみる。
すると、どこからか四堂のクックックと笑い声が聞こえて、
この建物の出入り口らしい扉の前で、私の質問に答えた。

「ま、慌てないで四四。まずは、この扉から建物の中に入るといいよ。
後、建物に入ってすぐの机の上に懐中電灯があると思うけど、絶対に手に取るんだよ?」
「え?・・・わかりました。」

私は何かを企んでいそうな四堂の声に、警戒しつつも、建物内に入り、
四堂の言うように、すぐ目のつく場所に机があって、その上には
懐中電灯もあったので、四堂の言われた通りに手に取った。
見た目は古そうな懐中電灯だったが、電源を確認すると、無事に使えそうだとわかった。

「よし。その懐中電灯を手に取ったようだね。」
「そんなに大事な物なんですか?この懐中電灯は?」
「フフフ・・・いずれ、わかることさ。
さてと、とりあえずは、まずこの建物の説明をしないとだね。」

四堂は懐中電灯を手にした私に、意味有り気な言い方をしながらも、
今居る建物の説明をしていく。

「この建物は、2冊目と私が過去日本に用事があった際に使用していた建物さ。
表向きは貿易会社ってことにしてあったけどね。」
「四堂と2冊目は、過去に日本に来たことがあったのですか?」
「あるよ。けど、2冊目は1度だけだけどね。ある目的の為に、
私と2冊目は日本に来たんだ。」
「ある目的?」
「そこはまだ内緒かな。それで、四四。建物内部に進んでくれるかい?」
「え?あ、はい。」

私は四堂の指示に従い、拾った懐中電灯の光を頼りに、目的の場所に向かう。
そこには、地下に通じる階段があり、私は警戒しながらも、地下へと降りていく。
深夜で暗いのもあるが、地下への道は更に暗さが増し、
まるで闇に飲み込まれていくよう気分になる。
ホラー映画やゲームなどでありそうな雰囲気だった。
小心者なら小さい物音さえ、さぞ怖いだろう。
私は、四堂の所為で何も恐怖を感じることはないが、懐中電灯の光だけでは、
何かを探すには、少し不便だなぁーと思うくらいだった。

「四四。地下に着いたら、資料室と書かれたプレートのついた部屋を探してごらん?」
「資料室ですか?」
「ああ。そこにもしかしたら、四四達が欲しがっていたものが残ってるかもしれないよ?
2冊目があの後で、あの資料をどうしたか次第だけどね。」

あの資料?私は四堂の言葉を聞き、その四堂の言う資料が
物凄く気になり、急ぎ足で資料室を探した。
深夜にこんな探索を私にさせるくらいなのだから、きっとその資料は、
今回の件に無駄な物ではないのだろう。
もしかしたら、今後で十二達にとっても、役に立つ物かもしれない。
そう思うと私は、気持ちを落ち着かせることが出来なかった。
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