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第8章「1つには出来ない解答(こたえ)」

「四四?寝ちゃったのかい?四四???」
「う・・・うーん・・・?」

私は誰かに起こされて、目を覚ました。起こした主は、声と姿からして四堂だった。
式神を通じて、ベッドで寝ていた私に呼びかけていたのだ。

「四堂・・・?どうしたんですか?何故、こんな夜中に私を起こすんですか?」

私は寝ぼけた意識を早く戻そうとしながらも、四堂に答える。
けど、こんな夜中に私を起こすなんて・・・
四堂が育ての親だから、許すしかないけれど、それでも私は少し不愉快な気分だった。

「寝てる四四に悪いとは思ったんだけどね。でも、話したいことがあってさ。」
「話したいこと?こんな夜中にですか?くだらない話だったら、
流石に私も怒りますよ?」

私は四堂の式神に向かい睨む。こんな深夜に話したい話なんて、
これまでの四堂との暮らしの経験上、良いことがない。
眷属で小さい子供だった頃には、深夜に時たま起こされては、
色々とさせられたものだ。
肝試しみたいなこと、とかも。

「まぁまぁ、四四。私の話を聞いて?」
「それで、何の話ですか?」
「四四は、本喰人を生み出した一族をあいつらと、調べているわけだろう?」
「そうです。それはもう四堂も、とっくに知っているじゃないですか。」
「だね。だからさ、四四にいい場所を教えてあげようと思ってね。」
「いい場所ですか?」

私は式神を通じて聞こえてくる、ちょっと嬉しそうな声の四堂に不信を抱く。
過去にこんな感じの口調で、深夜に起こされては、一緒に肝試しだの、
ホラー映画を見始めたりしたものだ。
私はその過去を思い出して、次の四堂の言葉に凄く嫌な予感がする。

「ちょっとした昔に、私と2冊目が一緒に使っていた建物が、
丁度良いタイミングで、四四が今夜泊まってるホテルから近い場所にあるんだよね。」
「え?」

私は四堂の言葉に、一瞬だけキョトンとしてしまった。
つまり、四堂がまだ2冊目の仲間だった時に、日本の横浜に一緒に来たことがあると?

「どうだい?気になるだろう?」
「気にはなりますが・・・何故、このタイミングで私に教えてくれるんですか?」
「もちろん、四四だからに決まっている。四四だからこそ、その場所に行って貰いのもあるけどね。」
「私だからこそ・・・?」

四堂は最後に真面目な口調で、私にこう話す。

「その場所に私と24冊目と50冊目で、一緒に行くのは駄目ですか?」
「駄目だね。」
「何故ですか?」
「これは、私から四四への試練でもあるからさ。」
「私への試練?四堂からの?」
「そう。」

式神から聞こえてくる四堂の声は、二四達に嫉妬してる様子もなく、
言葉のままに、私だけでその場所に行かせたいようだ。

「四四。私はね、お前が自分の身を守るだけなら、下巻クラスとは言え、
出来ると確信しているよ。2冊目と直に戦うのでなければね。
何せ、私が丹精込めて育て子なんだから。」
「随分、四堂は私の実力を買ってくれていたんですね・・・」
「当たり前だろう?だから、今まで好きにさせてきたのだ。」
「・・・・・・」

私は四堂の言葉に、黙ってしまった。
では私が考えていたよりも、四堂は私を認めていてくれたと思って良いのだろうか?
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