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第7章「思い出していくほどに・・・」

「四四の為だから忠告するけども、横浜に行く際には十分気をつけるんだよ。」
「どうしてですか?横浜に何かあると言うのですか?」
「いや・・・ここでは明確に言うのは差し控えるけどね。
アレが、まだ横浜にあるとは思えないが・・・
とにかく気を付けるんだよ、四四。わかったかい?」
「はぁ・・・?もう、教えてくれるなら、はっきり教えてくれればいいのに・・・
4冊目の無駄に意味深な言い方は、前々から実は嫌いでした。」
「ガーーーーーーーン」

電話の向こうで、4冊目は私の言葉にショックを受けたのを、大袈裟に表現する為に、
よくテレビ番組か何かで流れるような効果音を聞かせる。
いつの間に、こんな細工を用意したのやら、私は呆れて白い目になった。
4冊目には見えてはいないだろうけど、あ、でも今も式神で
私を監視しているのなら、見ていなくもない・・・かな?
どうせ、この話の流れからすると、堂々と式神を使って、私達の行動を監視するだろう。
表向きは、私を守る為とか偉そうに言って。

「では、四四の行動を見守る為にも、私の式神は常に側にいるから。よろしくね!
ああ、悪さなんかしないから、安心してね♪四四♪」
「やっぱり・・・」

私は自分が考えた通りの流れになって、がっかりした。
こういう時は、今後の事を考え、4冊目の弱味になりそうなことは控えなくてはならない。
ましてや、最近の好きな物とか知られるのも面倒だ。
4冊目は私と会話する為に、あざとく私が最近好きな物をチェックしたりするだろう。
それがバレたらと思うと、私はゾッとする。過去にも何度か、そんな経験をしたからだ。
私の好きな物で、とにかく会話して、ご機嫌を取ろうとする。
4冊目のそういう行動が、私は苦手だったのだ。
そして、4冊目はそれが良い事だと思ってるかもしれないが、
私からすれば、逆に4冊目への信用を無くす。
だって、はっきり言って、気持ち悪いと思うから。そんな行動。
4冊目はそれに気付いていない。仮に私が注意しても無駄だろう。
自分の良いように解釈して、最後は「照れてるから、そう言うのだ!」
とでも言うだろう。
本当に困った育ての親だ・・・4冊目は。
どうして、十二のようにまともでいてくれなかったのだろう。
十二のように普通でいて、いざと言う時に頼りになる本喰人だったのなら、
私だって喜んで4冊目の元に居ただろうに。
ここ最近は、十二だけでなく、六の師匠さんやキュワートさんの話なんかを聞くと、
やっぱり4冊目は、ちょっとおかしい本喰人だったんだと、思い知らされる。
酷い時には、悲しい気持ちにさえ、私はなる。
私だって、4冊目が変人みたいに言われ続けるのは、内心では良い気分じゃない。
育ててくれた恩があるのだから、当たり前だ。
素直に感謝したい時だって、私にもあるのに。それが出来ない4冊目の性格に、
私はしょんぼりした気分にもなってしまう。
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