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第7章「思い出していくほどに・・・」

※四四の視点に変更

「うんうん。良かったね、トワちゃん♪
十二と気を付けてギリシャに行って来てね!
こっちも2冊目側とかに気を付けるわ。うん、またね♪お土産待ってるね♪」

私は成田空港から嬉しそうな声で、ギリシャに出発するトワちゃんの電話を受けて、
私も少しだけ嬉しい気分になった。
と、同時に少しだけトワちゃんが羨ましく思う。
海外に行けるのが羨ましいのではない。十二のような信頼出来る
育ての親と一緒に行けるのが羨ましいのだ。
私も、4冊目がまともな本喰人で、あってくれたらといつも思う。
4冊目が十二のようだったら、私も今も4冊目の元に居ただろうになと。

「はぁ・・・いいなぁ・・・トワちゃん。」
「どうしたの?四四?」

私はトワちゃんと電話が終わり、4冊目の事を思い出してしまい、
つい溜息ついてしまって二四に心配されてしまう。
私は慌てて、二四に答える。

「ううん。何でもないです。あ、トワちゃんから電話があって、
十二と一緒にギリシャ行きの飛行機に、もうそろそろ乗るそうです。」
「へぇ。もう出発時間か。トワちゃんは、かなり喜んでるだろうね。」
「はい。とっても喜んでましたね。トワちゃんには初の海外みたいだから。」
「海外に初の飛行機にで、興奮してるトワちゃんに、十二先輩も
トワちゃんの世話が大変そうだね。」
「うふふ。そうですね。」

私は、二四と楽し気に笑い合う。でも、十二は表面ではトワちゃんに厳しくしていても、
裏では何より大事にしているのは、私でもすぐに理解出来た。
二四とゴートンに、十二達の生活の話を聞いていたのもあったけど、
実際に目の前で十二とトワちゃんのやり取りを見れば、もっとわかる。
私と過去に一緒に活動した時は、十二はあんなに穏やかな顔を
することはなかった。
過去の十二は、私に頼って来てはくれても、どこか冷たい印象があって、
私も他人の事を言える性格ではなかったけど、
それ以上の付き合いをすることにはならなかった。
だからトワちゃんと言う存在が出来た事で、心にゆとりが生まれて、
優しい顔をするようになったのだろうと、すぐに私は察した。
そして、二四達にも優しく出来るようになったのではないかとも。
13冊目の最後の願いがあったとしてもだ。

「そう言えば、四四も海外には何度か行ってるんだよね?」
「ええ。私が4冊目の眷属だった頃に、4冊目に連れられて、何か所かは行ってますね。」
「その4冊目は、今も中国に居そうなんだよね?」
「はい。4冊目は中国を基点に活動する本喰人でしたから。
もし、中国から出たのなら、私に連絡してきそうです。
特に日本なんかに来たら・・・会いたがるのではないかと・・・」

私は自分で二四に話していて、ちょっと嫌な気分になる。
もし、4冊目がこの日本に来て、私が二四やゴートンと
仲良く暮らしていると知ったら、何か嫌がらせのような事を
二四達にしそうで心配だった。
十二や六の師匠さんが居てくれれば、どうにかなるかもしれないけど、
今の私達だけでは、4冊目に何かされたら、対応出来るか不安だ。
二四もゴートンも、かなり成長してはいるけれど、私の所為で、
4冊目から危険な目には、遭って欲しくないのが本音だった。
4冊目の嫌がらせは、冗談抜きで命の危険があるかもしれないから。
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