このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第7章「思い出していくほどに・・・」

「本喰人は普通の人間の食事は食べないんだよね?」
「基本は食べないな。俺達、本喰人にとっては、普通の人間の食事は
栄養になったりしないはずだからな。」
「でも、キュアートお姉様みたいに旦那様が人間だったら、生活上で
一緒に食事したりしなきゃ駄目な時もあるよね?
そういう時はどうするの?」
「そういう場合は、能力を使って、普通の人間の食事をしても
大丈夫なようにしてるんだと思うぞ。
ただ、本を喰べるのとは違って、味を楽しむレベルまでは無理だとは思うけどな・・・
そこはいつかキュアートに直接聞いてみたらいい。」
「そうか・・・わかった。今度、キュアートお姉様に聞いてみるね!」
「まぁ、上巻クラスの本喰人は、俺達本喰人を生み出した一族達と
密接に暮らしていたらしいからな・・・
俺が想像しているよりも、もっと普通の人間と同じように暮らしていたかもしれないけどな。」
「へぇ・・・それだけ、上巻クラスの本喰人は、十二達と
何かが違うのかな?」
「これはあくまで俺の考えだが、本質が違うんだろうな。上巻クラスの奴は。」
「本質が違うの?どう違うの?」

俺の言葉にトワは首を傾げ、考え込む。
その何とも言えない顔をしているトワに、俺は内心クスっと笑いながらも、話を進める。

「本喰人の核となる、本の部分の素材が普通の紙やインクじゃないのかもしれない。
断言は出来ないけどな。」
「それが違うだけで、そんなにも違うものなの?」
「それだけでも、かなり違うんだろうな。実際、上巻クラスの連中は、
ほぼ転生もしてないし、力も昔のまま維持してる奴が多い。
中巻や下巻クラスにない強力な能力があると噂されるのも
それが理由だと言ってもいいはずだ。
俺達、本喰人を創り出した人間達は、遥か昔の時代に魔術師とか
錬金術師などと呼ばれた頃の人間達じゃないかと、俺は考えてる。
そんな時代にあった素材で作られた本だからこそ、
本喰人なる存在を創れたのではないのかと、俺はそう思ってる。」
「十二は、そう考えてるんだね。でも、言われると昔の人間達の中には、
特別の力を持ってると噂されてる人達が居たんだもんね。
なら、そんな素材があっても変じゃないよね?」
「そうだな。現代では、魔術だのは実在しないなんて、馬鹿にされたりもするが、
だったら、俺達の存在なんて、どう説明するんだって話なんだよな。」
「だよね。トワ達の存在こそ、現代の人間達からすれば、
不可思議な存在で、今の科学じゃ説明出来ないもんね?」

俺の言葉にトワも素直に同意する。
トワも俺の考えには異論はないみたいだな。
今の俺達じゃ、これくらいの推理しか出来ないわけだが。
2の奴は、もっと何か知ってるんだろうなぁ・・・
あの幻の0冊目を呼び出す方法が分かったと言ってたくらいだ。
本喰人の本質も、深く知ったに違いない。
早く俺達も、2の奴くらいに、本喰人を生み出した一族の情報が欲しいとこだな。
二四達や十が、良い情報を集めて来てくれる事を願うしかない。
俺達がギリシャに行っている間にな。
54/64ページ
スキ