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第7章「思い出していくほどに・・・」

「残念な事なんだが、サキの祖父は自分がサキと付き合う前の
5年くらい前には他界されたそうだ。」
「あーあの頃かな?確かにサキが元気なさそうで、仕事仲間同士でも心配してたんだよな。
あの時のサキは古本屋の仕事辞めるかもとか言ってたっけか・・・」
「サキがそんな事を・・・」
「俺も事情はよく知らなかったし、色々な噂があったからな。
その当時の彼氏に、仕事の事で振られたとか言う噂もあったから、
俺はてっきりそっちが理由なのかと、思っていたが。」

あの時期に、サキが元気がなく落ち込んでいたのは、
大好きだった祖父が亡くなったからだったのか。
人の噂は、気軽に信じるものじゃないな。

「でも、本当に残念だな。サキの祖父が生きていてくれたら、
俺達を生み出した一族の話が聞けたかもしれないのにな・・・」
「それは自分も凄く思っているよ。けど、もしかしたら、
サキの祖父の遺品から何かわかるかもしれないんだ。」
「サキの祖父の遺品からか?」
「うん。サキの祖父は、自分の一族の事を大事に思う人だったようでね。
もしかしたら、祖父の家に行ければ、何かわかるかもしれないと言ってくれたんだ。」
「おお!それは朗報じゃないか?!」
「だと自分も思ってる。だから、こっちの東京の用事が済んだら、
サキと一緒に、サキの祖父の家に行ってくるよ。」
「おう。それで、俺からも頼む。2の奴だけが、俺達を生み出した一族の情報があるんじゃ、
俺達は不利だと、俺は考えていたからさ。」
「はは。十二は、そう言うんじゃないかなーと思ってたよ。」
「え?そ、そうか?」
「六も言ってた。その話をしたら、そんな風に言うだろうってね。」
「参ったな。相変わらず、師匠には俺の考えはバレバレか。
師匠にもそんなにバレバレじゃ、2の奴に立ち向かうには、
まだまだだなぁ・・・はは。」

俺は十と一緒になって苦笑するしかなかった。
けど、十は俺を慰めてくれるかのように言う。

「だけど、十二は孤独じゃないよ。六やキュアート、二四達や、何よりもトワちゃんがいる。
十二の周りには、十二を助けてくれる仲間が沢山いるのだから、
2冊目側なんかに、そう簡単に負けたりしないよ。」
「そう・・・だよな。有難う、十。」

俺は少し照れくさいのもあったが、十に感謝した。
それから、俺は十と、お互いに小さい頃の話を始めた。

「十は3冊目の元眷属だったのか。」
「うん。それから、基本的な戦いの師は、1冊目かな。」
「おお・・・なんか凄いなぁ・・・」
「凄くなんかないよ。1冊目は、噂でも聞いてると思うけど、
本当に自由気ままな本喰人でね。
世界各地に連れて行かれては、何が修行なのか、わからないことも散々させられたよ。
人生経験と言う意味では、悪い事ではなかったけどね。」
「へぇー1冊目の修行って、そんな感じなのか?」
「まぁ、最後は六に今一度、戦い方を教わった時期もあるけどね。」
「十も師匠の弟子だったのか?なら、時期によっては、俺の兄弟子か?」
「いや、多分自分の方が後だと思うよ。だから、十二の方が自分の兄弟子じゃないかな?」
「マジか?」
「六がたまに十二の話を出したりしてたからね。あいつよりかけ引きのセンスがあるだの、
逃げ足的なことは、十二は勝ててないとかさ。」

あの師匠が十にそんな事を言ってたのか・・・
っつか、師匠から見て、俺は十よりも逃げ足的な事は勝ててたのか。
これはこれで、素直に喜んでいいのか、複雑な心境だな。
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