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第7章「思い出していくほどに・・・」

※十二視点に戻る

俺は十と再会した日の夜に、また十から連絡が来て、俺の拠点で
また話したい事はあると言うので、会っているとこだった。
セアは自分の部屋で、今頃は楽しそうに旅行の準備をしているだろう。

「夜に悪いね。十二。」
「いや、気にしないでくれ。俺も十と話せる機会があるなら、
もっと話してみたいと思っていたんだ。」
「そっか。でも、お互いをより知り合うのは良い事だと、
自分も思っていたんだ。自分は、自分の事を言う機会が少なかったからね。」

十は俺と向かい合う形で座り、俺と静かに会話を始めた。

「と、その前に十二にだけに話しておきたい話があったんだ。」
「どんな話なんだ?」
「サキの事なんだけどさ。彼女は、自分が本喰人であると言う事は知ってる。」
「え?そうだったのか?!」
「うん。それに薄々、十二や二四達も、そうなんじゃないかと勘づいてはいる。
自分から無用に教えることはないけど。」
「なんだ・・・サキは本喰人の存在を知ってたのか・・・」

俺は十の話を聞いて、唖然としてしまった。やっぱり、十であったとしても、
サキに自分の正体を知られずに、付き合うのは無理だったわけか。
いや、それだけ十も、サキを本気で愛していると思って、いいんだろうな。
じゃなければ、何をするにも慎重そうな十が、自分の事を本喰人だなんて、
流石にサキにもバラすわけがない。
でも、俺はつい気になって、十に質問してしまう。

「けど、サキは本喰人の存在を本気で信じたのか?」
「うん。信じてくれたよ。けど自分だって、最初は凄い疑ったさ。
信じると言ってはくれたけど、ただ自分と付き合いたいから、
信じてるフリをしているんじゃないかってね。」
「そりゃ・・・そう思うよな。俺達はさ。」
「うん。でも、サキと仲良くなっていくにつれて、
サキが自分の家族の話をしてくれた時に、自分はサキを信じても良いと思えたんだ。」
「サキの家族の話で?何でだ?」
「サキの家族と、言うかサキの一族は、もしかしたら自分達、
本喰人を生み出した、例の一族の末裔かもしれないんだ。」
「おいおい・・・マジか?」

俺は十の話を聞いて、ますます唖然とさせられてしまった。
あのサキの一族が、俺達を生み出した一族の末裔かもしれないのか。
だが、十の言う通りなら、サキが十の事を信じると言ったのも、
理解出来なくはない。

「サキの祖父は、小さい頃からサキに言っていたそうなんだ。
本喰人と言う存在がいること。数少ない貴重な存在だから、
会うのは難しいかもしれないが、もし出会うことがあったのなら、
助けてやって欲しいとね。」
「へぇーサキの祖父がねぇ・・・」
「サキの両親は、そんな話は全く信じてなかったらしいんだけど、
サキは小さい頃に聞いたと言うのと、祖父と凄い仲が良かったらしくて、
自分が本好きになって、古本屋やるようになったのも、祖父の影響だと言っていたよ。」
「あーあー、そうだそうだ。古本屋をやるきっかけになった話は、俺にもしてくれたな。」

俺は十の話を聞いて、自分もサキから、そんな話を聞いていたことを思い出した。
それにしても、まさか俺達が探したいと思っていた存在が、
実はこんな身近にいたなんて、驚きだ。
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