このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第7章「思い出していくほどに・・・」

イギリスの空港に着き、私はノウェムの指定された場所に行くと、
そこにはノウェムとイーリスが居て、私達を迎えに来てくれていた。
ノウェムは失礼が無いように、六ちゃんに頭を下げて、挨拶をしてくれた。
イーリスもノウェムに従い、同じようにする。

「六様。この度は、我が妹の我が儘にお付き合いして下さり、有難うございます。
我らが母も、六様にはぜひ会って、直接お礼が言いたいと申しております。
これから、母の元にご案内させて頂きたく思いますが、宜しいでしょうか?」
「うむ。構わぬ。お主が、ノウェムか?」
「はい。キュアート様の眷属(こ)の長兄に当たります。
ノウェムと申します。以後お見知りおきを。
それから、こちらはセアの妹で、キュアート様の3女になります。
イーリス、ご挨拶を。」
「はい。六様。ようこそイギリスへ。私がイーリスです。
母、兄共々で、出来る限りのおもてなしをさせて頂きますので、
どうぞ私の事もお見知りおきを。」

ノウェムとイーリスは、そう言って、また頭を下げて六ちゃんにご挨拶をする。
ここまで丁寧な挨拶をしてくれるとは思わず、私は内心ではノウェム達に感心していた。
そんな私の眷属達を見て、六ちゃんは嬉しそうだった。

「ノウェム殿、イーリス殿。丁寧な挨拶、心から感謝する。
だが、これから世話になるのは拙者の方だ。
今後はそこまで改まった対応はしないでくれ。
それに、セア殿には拙者もいつも世話になっている。
セア殿の家族のノウェム殿達に感謝させて欲しい。」
「いえ、六様。我が妹が毎度ご迷惑をかけていないか、心配していたので、そんな感謝だなんて。」
「そうです!セア姉さんは強引なとこがありますから!
六様にご迷惑をかけていたら、遠慮なく言ってやって下さい!」

まぁ!ノウェムにイーリスまで!私に対して、何て酷い事を六ちゃんに言うのよ!もう!
見なさいよ!六ちゃんが苦笑いしてるじゃない!貴方達の所為で!

「はは。セア殿のご兄妹達は、セア殿の事がやっぱり良く分かってますな。」
「むぅ・・・六ちゃんまで、そんな事言って・・・」

私はちょっと不貞腐れて、六ちゃんの服を掴む。
六ちゃんは、少し意地悪な笑顔で私を見る。
だけど、六ちゃんは急に私の手を軽く握ってくれた。
う、嘘?!六ちゃん・・・こんなとこで・・・そんな・・・

「ですが、拙者がまた新しい文化に関り、良き成長の機会を与えてくれたのもセア殿です。
だから、感謝しています。キュアート殿が今危険なかもしれない時期に
セア殿を借りていることは謝罪させて下さい。」
「そんな。六様。お止め下さい。セアが六様への同行を
許されているのは母が許可しているからです。
なので、お礼や謝罪は、どうか母にお願い致します。」

ノウェムは六ちゃんの言動に驚きつつも、戸惑った顔でそう伝えた。
イーリスは、私を見て、ちょっと羨ましそうにしている。
イーリスも、ノウェムの事が好きだから、私と六ちゃんみたいな感じに
なりたいと内心は思っているんだろうなぁ・・・
でも、ノウェムも六ちゃん並みに頑固な男の本だから。
落とすのは、かなり大変だと思うけど、イーリス、ファイトよ!
42/64ページ
スキ