このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第7章「思い出していくほどに・・・」

例のパーティーが始まる、1時間ちょい前に、母上達はホテルに着いた。
母上とオスカー様はパーティーの為に、早めにホテルに来て、
ホテル内で身支度をされるようだ。
オレは自分が借りた部屋で、ヴァンダムと話し合いをしていた。

「ここと、ここ辺りが怪しそうだな。それから、もし母上達が連れ去られそうになったら、
敵は、こっちとこの道を使うんじゃないかとオレは見ている。」
「なるほど、なるほど。流石、ノウェム兄貴だ。」

オレは地図を広げて、ヴァンダムとホテルの周りについて話し込む。
ホテルの周りも、オレが調べた限りでは、大丈夫そうだった。
後は、もう敵がいるのなら、敵が動くしか、わかるようなことはなさそうだった。

「兄貴。この感じだと、人間の敵は今回いなそうだと思っていいな。
流石に、このホテルから要人を誘拐するのに、何にも下準備してないんじゃ無理だろ?」
「そうだな。でなければ、一気に事を起こすのに必要な人材が
集まれば、不自然だし、当然オレ達なら異変に気付く。」
「じゃあ、後は2冊目側の敵じゃないことを願うだけだな。」
「ああ、上巻クラスの本喰人が敵じゃない事を願うだけだ。」

オレはヴァンダムと敵がそっち側でないことを願うしかなかった。
話が終わりヴァンダムに合鍵を渡して、ヴァンダムはまた母上の警護に戻る。
それと入れ替わるようにして、イーリスもこの部屋に来た。
ヴァンダムがイーリスにも、この部屋のことを教えたのだろう。
イーリスも知っておくべきだからな。

「ノウェム兄さん。私も確認の為に来ました。」
「うん。イーリスも、いざと言う時はこの部屋を使ってくれ。
母上達の様子はどうだ?」
「はい。母上もオスカー様も今は身支度するのに借りている部屋で、息抜きをされております。
この時間だと、母上はメイクなどを、オスカー様はマッサージを受けられてる頃合いですね。」
「そうか。なら、今はヴァンダムの守りだけで大丈夫そうだな。」
「はい。そう言えば、ノウェム兄さん、昨日のペネロペ姉さんと
ファウヌスとの話し合いはどうでしたか?」

イーリスはいつも見ている手帳を閉じて、オレに昨日の事を聞く。

「ペネロペとファウヌスは、それぞれに変わりはないようだ。
後は、イーリスの頼まれた事はしっかり伝えた。今頃、各自で調べてくれているだろう。」
「ほっ。それは良かったです。」

オレの言葉にイーリスは安心した顔を見せる。

「今はゆっくりとしゃべってもいられないから、手短に話すが、
4冊目は中国に、7冊目はラスベガスのカジノにいると、
ファウヌスが言っていた。
この両者が2冊目と手を組むかわからないが、便乗して、
母上に悪さをしないとも言い切れないから、注意するんだぞ?イーリス。」
「承知しました。ノウェム兄さん!あ、いけない、母上のメイクの終わる時間だわ!」
「なら、急いで戻るんだ。そっちで何かあったら、すぐにオレの携帯に連絡すればいい。」
「はい!では、ノウェム兄さん!また!」

イーリスはバタバタと、少し品の無い感じで慌ただしく、オレの部屋から出ていった。
ギリギリの時間を使って、オレの部屋に来たみたいだな。
35/64ページ
スキ