第7章「思い出していくほどに・・・」
ファウヌスは、しばらく困った顔のままで、何から話そうか悩んでいる様子だった。
オレとペネロペは、ファウヌスを急かすことはせずに、大人しく待つ。
ファウヌスは、キュアート様の6冊目の眷属で、兄弟順で言えば、3男になる。
人間のフリをしている時は、キュアート様の従弟と言う事になっており、
仕事はジャーナリストで、世界各地を巡り、珍しい古美術品を
紹介する記事を書いたり、時に各国の観光や、その時々に話題に
なりそうなものを記事にしたりする。
ファウヌスの記事は、人間達には思ったよりも評判のようで、
数冊の雑誌に記事が載ったりすることもある。
しかし、ファウヌスの本当の目的は、記事を書くことではない。
各地にいる本喰人の動向を探るのが、本来の目的だ。
だから、フリーのジャーナリストになって、世界各地を巡れる立場にいるのは大きい。
場合によっては、10冊目とも、連絡を取り合っていることもあるようだ。
10冊目は、母上とも仲がいい、3冊目と繋がりのある本喰人だからな。
それもあるので、オレは10冊目の事は、こちら側の仲間だと認識しているので、
ファウヌスと連絡を取り合うのは許可していた。
「僕も10冊目から大雑把にしか話が聞けなかったので、よくはわからないんだけどねぇ。
ペネロペの言う通り、前にも僕が報告したと思うけど、2冊目は
12冊目を仲間にしようと画策したみたいだよ。」
「それで?どうなったんだ?」
「失敗したみたいだね。2冊目は12冊目には今まで曖昧な態度しかとっていなかったけど、
今回の事で明確に敵と見なすことにしたらしい。」
「12冊目が2冊目側になることはないと思ってはいましたが、
これで私達も12冊目をより信頼出来るようになりましたね。」
「そうだな。12冊目には悪いが、我々からしたら、12冊目が
2冊目と明確に敵対してくれたのなら有難い。
母上とは敵対して欲しくなかった本喰人だからな。」
オレはファウヌスのその報告を聞いて、少し安堵した。
12冊目とは、昔に一緒にオレ達暮らした仲でもある。
母上も12冊目を弟の様に可愛がっていた存在でもあったから、
出来るなら敵対関係にはなりたくないと思っていた。
それに、戦うとなると12冊目は厄介な存在だ。
我々の事もよく知ってるのだから。
「でも、そのおかげで2冊目がますます活発化しちゃったんだよねぇ。」
「それはどういう意味だ?」
オレはファウヌスの言葉に首を傾げた。
ファウヌスは、困った顔をしながら、頭を掻き、オレに答える。
「12冊目を仲間に出来なかったから、今度は4冊目と7冊目を
仲間になるように勧誘してるらしい。
8冊目も協力してね。」
「それは、またそれで嫌な状況ですね。」
「でしょ?12冊目が2冊目の仲間になるのも嫌だったけどさ、
だからって、次に4冊目が再度仲間になるか、7冊目が加わるのかしても、
あんまり良い状況とは言えないでしょ?」
「うーん、確かにそうだな。」
ファウヌスの話を聞き、オレも困った顔にならざる得なかった。
2冊目は、12冊目が仲間にならないとわかった瞬間に、
次は徹底的に12冊目を殺そうとしているのか?
それはそれで、両極端だなとオレは思い悩んだ。
にしても、4冊目と7冊目に対しても、警戒しなければならないのかと思うと、
面倒が一気に増えたな。
ファウヌスが困った顔をしていたわけだ。
オレとペネロペは、ファウヌスを急かすことはせずに、大人しく待つ。
ファウヌスは、キュアート様の6冊目の眷属で、兄弟順で言えば、3男になる。
人間のフリをしている時は、キュアート様の従弟と言う事になっており、
仕事はジャーナリストで、世界各地を巡り、珍しい古美術品を
紹介する記事を書いたり、時に各国の観光や、その時々に話題に
なりそうなものを記事にしたりする。
ファウヌスの記事は、人間達には思ったよりも評判のようで、
数冊の雑誌に記事が載ったりすることもある。
しかし、ファウヌスの本当の目的は、記事を書くことではない。
各地にいる本喰人の動向を探るのが、本来の目的だ。
だから、フリーのジャーナリストになって、世界各地を巡れる立場にいるのは大きい。
場合によっては、10冊目とも、連絡を取り合っていることもあるようだ。
10冊目は、母上とも仲がいい、3冊目と繋がりのある本喰人だからな。
それもあるので、オレは10冊目の事は、こちら側の仲間だと認識しているので、
ファウヌスと連絡を取り合うのは許可していた。
「僕も10冊目から大雑把にしか話が聞けなかったので、よくはわからないんだけどねぇ。
ペネロペの言う通り、前にも僕が報告したと思うけど、2冊目は
12冊目を仲間にしようと画策したみたいだよ。」
「それで?どうなったんだ?」
「失敗したみたいだね。2冊目は12冊目には今まで曖昧な態度しかとっていなかったけど、
今回の事で明確に敵と見なすことにしたらしい。」
「12冊目が2冊目側になることはないと思ってはいましたが、
これで私達も12冊目をより信頼出来るようになりましたね。」
「そうだな。12冊目には悪いが、我々からしたら、12冊目が
2冊目と明確に敵対してくれたのなら有難い。
母上とは敵対して欲しくなかった本喰人だからな。」
オレはファウヌスのその報告を聞いて、少し安堵した。
12冊目とは、昔に一緒にオレ達暮らした仲でもある。
母上も12冊目を弟の様に可愛がっていた存在でもあったから、
出来るなら敵対関係にはなりたくないと思っていた。
それに、戦うとなると12冊目は厄介な存在だ。
我々の事もよく知ってるのだから。
「でも、そのおかげで2冊目がますます活発化しちゃったんだよねぇ。」
「それはどういう意味だ?」
オレはファウヌスの言葉に首を傾げた。
ファウヌスは、困った顔をしながら、頭を掻き、オレに答える。
「12冊目を仲間に出来なかったから、今度は4冊目と7冊目を
仲間になるように勧誘してるらしい。
8冊目も協力してね。」
「それは、またそれで嫌な状況ですね。」
「でしょ?12冊目が2冊目の仲間になるのも嫌だったけどさ、
だからって、次に4冊目が再度仲間になるか、7冊目が加わるのかしても、
あんまり良い状況とは言えないでしょ?」
「うーん、確かにそうだな。」
ファウヌスの話を聞き、オレも困った顔にならざる得なかった。
2冊目は、12冊目が仲間にならないとわかった瞬間に、
次は徹底的に12冊目を殺そうとしているのか?
それはそれで、両極端だなとオレは思い悩んだ。
にしても、4冊目と7冊目に対しても、警戒しなければならないのかと思うと、
面倒が一気に増えたな。
ファウヌスが困った顔をしていたわけだ。