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第7章「思い出していくほどに・・・」

オレは翌日になり、イーリスと別れて、自分の今日やるべきことをしに、
行動を開始した。
まずは、ペネロペとファウヌスに会う為に両者にメールをしておく。
それから、オレの仕事の相棒であるレトニアにも連絡し、
数日は会社の方を任せると頼んだ。

「またお姉さんが、狙われてるのか?ノウェム?」
「そうなんだ。厄介な奴が、また姉に目をつけたらしくてね。
裏で処理するのに、数日掛かるかもしれない。
それまでの間は、いつもの様に会社の方を頼む。」
「OK、任せてくれ。ノウェムの判断が必要な時はメールとかで
報告するようにするよ。
にしても、ノウェムのお姉さんはいつも人気者で大変だな。」
「姉と言うよりも、フログベルデ卿の妻としてだがな。
こちらとしても、注意はしてるんだが、外見も外見なだけに、
ちょっと活動するだけで目立つから困るよ。」
「あれだけの美貌だからな。目立つなって方が無理だろう。
にしても、あんだけの美人を姉に持つ、ノウェムが羨ましいよ。
お姉さんの旦那さんも貴族なうえに、話題の資産家だしさ。」
「その代わりに、裏で命を狙われたり、誘拐されそうになったり、
嫌なトラブルも日々あったとしてもか?」
「ん・・・その話をノウェムから、結構聞かされたから、一概に羨ましがれないよな。
ま、ノウェムの用件はわかったから、安心してくれ。」
「では、頼む。またな。」

オレは、そう言って、レトニアとの電話を済ませた。
レトニアはオレの大学時代の男の友人だ。もちろん人間の。
オレが人間の中で一番に信用出来る男で、一緒に会社を経営している。
表面上はオレが社長になってはいるが、実質的にはレトニアが会社の経営権を握っている。
いや、そうして貰っているのだ。
オレはあくまで人間のフリをする為に仕事をしているだけなので、
必死になってお金を集める必要はないのだが、
母上が社会的にも立場のある存在なので、オレもそれなりの身分ある存在になる為に、
会社を立ち上げて、社長と言う肩書を今は得ている。
イーリスは母上の秘書もしているが、時にはオレの秘書も兼任する。
なので、レトニアとも顔馴染みだ。
レトニアには、オレの正体はバラしてはいないが、うまく誤魔化して、
人間として暮らしているキュアート様の事は話してある。
人間の前でキュアート様の話をする時は、オレはキュアート様の弟と言う事にしていた。
その姉はいつも危険な目に遭いそうになるので、裏から弟である
オレが助けているのだと、レトニアには話してある。
学生時代には、色々と細かく聞かれたりもしたが、最後には納得してくれて、
今では良き理解者にもなってくれている。
レトニアとしては、ゴシップも大好きだから、オレからキュアート様を
守った後日談を聞けるのも楽しみではあるようだが。
だがそんなレトニアも、人間の男としては仕事は優秀で、
会社の経営も安心して任せられる。
学生時代の付き合いの頃から、彼は企業するのが夢だったしな。
だから、一緒に会社を作ろうと言った時は、凄い喜んでくれたものだ。
資金援助なら、オレがいくらでもキュアート様から受けれるのもあったしな。
母上も、良い経験になるから、やってみたらいいと、快く承諾もしてくれた。
大きな会社ではないが、信頼出来て頼れる数人の仲間と一緒に、
オレは仕事をする時期もある。
母上の身が安全だと安心出来る時はな。
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