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第1章「下巻の奴等」

「この雑魚本がよ!!!調子に乗るなよ!!!」

18は激怒し、24冊目の腹を何度も殴る。24冊目は口から、
血を出し始めている。
これは、早く、助け出さないと、本体である、本にも傷がついてしまう。
俺は、焦りを感じていたが、助け出すタイミングを慎重に見計らっていた。
でなければ、あんな目に遭ってまで、耐えている24冊目に申し訳がなかった。
これは失敗は許されない。1度きりの大事なチャンスだ。

「はっ。そうだな、「禁断の本」にお前はこだわりがあるみたいだな?
だったら、てめぇーで、まず試してみるか?お前にその素質があるかどうかをな?」

18は何か良い事でも思いついたと言う顔で、憎らしく笑った。
あの時、過去に36冊目を喰った、あの時の顔に似ていた。
俺も、我慢の限界にきそうだった。

「頼む・・・早く、タイミングを、教えてくれ・・・24冊目。」

今にも飛び出しそうな、50冊目を何とか必死に抑え込み、
俺は、24冊目の言葉に神経を集中していた。
18は、憎らしい声で笑いながら、24冊目を殴っていた手から、
2冊目から、与えられたと言う、「禁断の本」を出していた。
そして、24冊目の身体に押し当てる。

「てめぇの身体に埋め込んでやるよ?まー俺様でも、今はまだ扱うのが難しい本が、
てめぇみたいな雑魚の本に、扱えるわけがねぇ。憧れの「禁断の本」に喰われて死にな。」
「仮に私がここで死んでも、「仲間」がいます。
その本は、きっと「仲間」が使いこなしてくれる。貴方の様なゲスな本と違ってね!」
「黙れ!!!この雑魚本が!!!」

24冊目はやっとタイミングを教えてくれた。俺と50冊目は、
瞬時に飛び出し、俺は18を跳び蹴りし、50冊目は親友を助け出した。

「ぐはぁ!!!」

18は気持ち良いほどに、俺の蹴りで遠くまで吹っ飛んだ。
そして、50冊目は大泣きしながら、24冊目を抱きしめていた。

「馬鹿ぁ!!にっちゃんは死ぬ気だったのかよ!僕を置いて!!」
「そ、そんなに泣くなよ、ごーちゃん。それに、まだ体が
痛いんだからさ・・・あたたた。」
「ご、ごめん。にっちゃん・・・大丈夫?」

2冊の可愛いやり取りに俺は大爆笑してしまった。なるほど。
こんなやり取りをするほどだ。2冊は親友で間違いないだろう。
俺は、なんだか、心が温かくなった気がした。2冊は少し照れている。
が、今はまだ、安心できる状態ではない。18がいるのだから。

「50冊目、呑気にしてる場合じゃないぞ!早く24冊目を安全なとこに連れていけ!」
「う、うん!」

俺の真剣な声に、50冊目はすぐに反応し、24冊目を倉庫の外に連れ出した。
そして、俺は倒れ込んだ、18に久しぶりの挨拶をする。
もう何百年ぶりか、わからない。

「よう、最低最悪の馬鹿本。元気かよ?」

18は、身軽な動きで、瞬時に立ち上がり、怒りに震えた顔で、
俺を睨みながら、答えた。

「ああ、最高の挨拶を俺様にありがとうなぁ!!!
無力で惨めな駄本さんよぉおおお!!!」

久しぶりの宿敵に遭えたことが嬉しいのか、怒りに満ちながらも、
18のその顔にはある種の笑顔もあった。
俺も、きっと同じような顔をしているだろう。長年の因縁に、
やっと終止符が打てるかもしれないのだから。
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