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第7章「思い出していくほどに・・・」

※ノウェムの視点に変更

「いい?ノウェム?近頃、また2冊目が不穏な動きをしてるらしいから、
気を付けるのよ?」
「母上は・・・。それを言うのなら、母上「も」でしょ?
こちらも、つい最近になって、三つ子の眷属達(きょうだい)が増えましたし。
あの子達は、まだ幼いので、アリアドネだけで世話は心配です。」
「ふふふ。大丈夫よ、ノウェム。ヴァンダムがいつも側に居てくれて守ってくれてるし、
不器用ながらもアリアドネの事も手伝ってくれているわ。」
「ならいいのですが。ヴァンダムは、母上が好きすぎて、嫉妬深いのが、
今でもたまに不安です。」
「ノウェムは心配性ね。そこが頼りになるところでもあるんだけど・・・
心配のしすぎは身体に良くないわ。」
「ふぅ・・・母上が呑気すぎるんですよ。全く。」

オレは、自分の主であり、母親でもある、9冊目こと、キュアート様に呆れた。
いち眷属にしかすぎない自分を、我が子の様に可愛がって、大事に育ててくれた恩が、
ある手前、悪い事は言いたくないが、優しい性格な分、何かと争いになると、
それが不利に働くこともある。
敵とは言え、ここまでの事はしないだろうと言った安楽な考え方をしたりするのだ。
だから、オレは過剰と言われても、母上を守る事に関しては必死になる。
と言うのも、3冊目と会う機会があった時に、くれぐれも母上を
しっかり守るように助言を受けた程だ。
9冊目は優しい性格だから、戦いには向かない本だろうからと、
はっきり断言さえされた。
それがあるからこそ、オレは同じ眷属達(きょうだいたち)には、
皆で母上をしっかり守っていこう!と団結することにした。
その甲斐もあってか、母上は今も穏やかに、今現在の夫と仲良く暮らしてくれている。
今のオレには、それが何よりも幸せに感じる瞬間。
この本喰人の眷属になれて良かったと、恩返しが出来ていると実感出来る時だからだ。

「そうだ。母上。あの10冊目からの指示で、保護した人間の女性はどうですか?
何か、母上の方で困った事はありませんか?」
「リィベルちゃんの事?何にも問題ないわよ?素直な子だし、
トト達も、すっかり彼女の事が気に入ったみたいだし♪
彼女もトト達と仲良くしてくれているわ♪
アリアドネも、彼女と最近はよく会話するそうよ?」
「そうですか。なら良かったです。」

オレは一番気がかりだったことを、今日確認出来て安心した。
15冊目、16冊目と暮らしていた女と言う事で、どんな素性の女かと心配していたが、
トト達と仲良く出来るのなら、一先ずは大丈夫だろう。
アリアドネも警戒心が強い眷属だ。少しでも疑わしいことを感じたら、
すぐにオレに報告をくれただろうしな。

「ノウェムは、いつも頼れる私の長男だわ♪
他の子達も、皆良い子だし♪私はとっても幸せ者ね♪」
「はぁ・・・母上は・・・またそんな事を気軽に・・・」

オレは、嬉しそうに笑顔で言う、キュアート様に再び呆れた。
けど、こんなやりとりが出来る日々こそが、幸せの1つでもあるのだから、
喜ばしいことでもあるわけだ。
さて、そのキュアート様、いや母上の幸せな日々を今後も守る為に、
久しぶりに、またオレの眷属達(きょうだいたち)と、
気持ちを一つにしなきゃいけないな。
あの2冊目が再び動き出したと言うから、お互いに連絡をしっかりと取らなければ。
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