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第7章「思い出していくほどに・・・」

トワが会話に参加したのもあり、十はもう一度、明後日に
ギリシャ行の飛行機のチケットを取ってくれる事と、
現在、3冊目がいる場所の話をトワにしてくれた。
トワは、嬉しそうにしながら、十の話をしっかりと聞いている。

「あ、それで15冊目と16冊目なんだけどね。今は3冊目の元にいる。」
「へぇ。3冊目の元にいるのか。あれから、あいつらは、少しは回復したのか?」
「まだ、本の姿ではあるけど、目は覚ました。会話くらいなら、
出来るようにはなったはずだ。」
「そうか、良かったよ。ちょっと罪悪感あったからさ。」
「十二が罪悪感を感じることはないよ。あの時は、あれが一番の最善の方法だった。
3冊目の説得もあって、15冊目と16冊目は、2冊目に協力するのは辞めたよ。
ま、元々から仲間になるつもりなんて、無かったみたいだけどね。」
「だろうな。と言うか、15冊目と16冊目は、人質みたいなのを取られて、
無理矢理に従っただけだろう?」
「そうだ。一緒に暮らしていた人間の女性をね。」
「その人間の女は、結局どうなったんだ?15冊目と16冊目が、
いなくなってしまったわけだろう?無事なのか?」

俺が気になっていた質問に、十は意外にも平然とした顔で答える。

「無事にこちら側で保護したよ。場所的には、9冊目が一番近かったので、
9冊目が保護してくれている。
それを聞いたからこそ、15冊目も16冊目も、変に抵抗せずに、今は回復に専念してるんだ。」
「へぇーキュアートが保護してくれているのか。でも、それはそれで良かったかもしれないな。
キュアートは世話好きだし、家の問題とかもないだろうからな。」
「うん。キュアートは金持ちだからね。人間1人を保護するなんて容易そうだったよ。」
「流石すぎるわ。」

俺は十から、その話を聞いて更にホッとした。
15冊目と16冊目にとっても、いい方向に話が進んだのなら、
良かったではないか。
これで、もう15冊目と16冊目の2冊達と敵対する必要が、
なくなったわけだよな。
敵になるかもしれない存在が減るのは有難い。俺だけでなく、
3冊目達からしても有益なはずだ。
後はそうだな、俺が15冊目と16冊目に許して貰えるかどうかかな?

「その人間の女性は、どんな感じの方なんですか?」

トワは、十に15冊目と16冊目と一緒に暮らしていた、人間の女の事を聞いた。
確かに、どんな人柄なんだろうか。
15冊目達が手助けしてやりたいと思うような女ってことだもんな。気になる存在だ。
十はトワの質問にも丁寧に答えを返してくれた。

「人間の女性と言うだけで、自分の見た限りでは、特殊したものはないように感じるね。
けど、彼女は目が不自由でね。全く見えないわけでもないけど、
場合によっては、助けが必要な場面もあると言った感じかな。」
「そんな感じの方なんですね・・・」

トワは、慎重に言葉を選びながら、十に相槌を打っている。
こんなトワは、珍しいな。やっぱり、十が年上なのもあって、
気を付けているのか?
礼儀正しいのは、俺としても悪くないことだが、どうしてだか、
俺の方がソワソワさせられてしまうな。
見慣れないこんなトワにな。
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