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第7章「思い出していくほどに・・・」

「最初に、十二はそろそろ3冊目のとこに行く予定かな?」
「ああ、実は俺はその事で、十と話がしたいと思ってたんだ。」
「では、凄く良いタイミングだ。3冊目が人手が欲しいとも言っててね。
十二が会いに行くついでに、3冊目を手伝ってくれると助かる。」
「わかった。じゃあ、早いうちに3冊目のとこに行く準備をしなきゃだな。」
「十二さえ大丈夫なら、明後日のギリシャ行の飛行機の便が取れるが、どうする?」
「マジか?十が良いなら、俺とトワの搭乗チケットを取ってくれると助かるが・・・
任せてもいいか?」
「もちろん。自分としても助かるからね。では、明後日に空港で待ち合わせしよう。
その前に、携帯番号を交換しておこう。今後は六を介さないで、
直接、自分に連絡くれていい。」
「そうか。それなら、それで助かる。」

俺は十と携帯番号のやり取りをしながら、再度会話を続ける。
十は自分のカバンから地図を取り出して、俺に見せながら話す。

「3冊目は今はここに居る。この場所は、十二にも馴染みのある場所だと思うよ。」
「ここか・・・」

俺は十に指さされた場所の名前を見て、薄っすらと記憶を思い出した。
その場所は、俺や36冊目が一緒に育った場所だった。

「時代が過ぎたから、大分変っただろうけど、それでも行けば、
きっと思い出すものをあると思うよ。」
「そうか・・・」

俺は十の出した地図を見ながら、少し苦しい気持ちにもなっていた。
そこに、トワがパタパタと階段を駆け上がり、俺達の元に来る。

「ご、ごめんなさい!今、お店閉めたから!」
「トワ。何もそんなに慌てなくていいんだぞ?」
「だ、だって。せっかく、十さんに会えるから、早くしたかったんだもん。」
「お前なぁ・・・」

俺は少しだけトワに呆れていると、その横ですぐ十が笑う。
俺とトワは恥ずかしい気持ちになり、お互い黙ってしまった。

「トワちゃんは、可愛いね。それに良い子だ。」
「そ、そんな事ないです!」
「おい!十、からかうのはやめてくれよ。」
「自分は、真面目に言ってる。そうだ、ちゃんと挨拶してなかったね。
自分は10冊目だ。十と気軽に呼んでいいよ。」
「初めまして!10冊目!私は十二の眷属のトワです!
よ、呼び捨ては失礼だと思うので、十さんって呼ばせて貰いますね!」
「あはは。うん、それでもいいよ。トワちゃんは礼儀正しい本だね。」

何故だかテンパっているトワに、十は優しく応対してくれている。
と言うか、なんでトワはテンパっているのだ?
可愛いとか平気で言ってくる十に動揺しているのか?
俺も、十がそんなことを気軽に言う本だとは思わずに、内心は驚きはしたが。
彼女がいると、こういうものなのか?女の扱いが上手いと言うか。

「トワちゃんにも話さなきゃいけないことがあるから、席に着いてくれるかい?」
「え?あ、はい!」

十はトワにも席に着くように促し、トワが俺の横に座ったのを確認すると、
また話を始めた。
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