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第7章「思い出していくほどに・・・」

「ああ、そうなんだ。それで、明日で悪いけど、サキの店に行ってもいいか?
ん?ああ、全然構わない。店の中で、ちょっと紹介させて貰えばいいだけだから。
え?あーそんなものは用意しなくていいから、気にしないでくれ。」

俺は、あの楽しい食事の後で、すぐにサキに電話して、明日会えるかどうかの確認した。
サキは、俺が考えていた通りに、すぐに承諾してくれて、無事に明日会えることが決まった。
俺は、二四達の部屋に各自決まった事を伝えに行くのも、
面倒だったので、メールで一斉に報告を済ませ、自分のベッドで、ゆっくりとしていた。
それぞれ来たメールの返事を確認していると、トワが俺の部屋に来る。
俺はトワを招き入れると、トワは少し悲しそうな顔をしていた。
ん?どうして、トワはこんな悲しそうな顔をしているんだ?
俺が不思議に思いながらも、トワに声を掛けた。

「どうしたんだ、トワ?そんな顔をして?」
「十二・・・聞きたいことがあるんだけど・・・」
「ん?なんだ?」

トワは、少し困ったような顔をしながらも、ちょいとオドオドしながら、俺に聞いてくる。

「十二が今日お話ししてた、36冊目って・・・もしかして・・・
十二の大事な本・・・恋人なの?」
「ぶっ!!!」

俺は、トワに36冊目の事を質問され、噴き出した。
トワめ・・・それが気になって、俺のとこに来たのか。
年頃の女の子の本だからこそ、気になるのかもしれないな・・・
さて、どう答えたものか・・・変に隠しても、良い事ないしな。

「36冊目は、確かに俺にとって大事な本だ。」
「じゃあ、やっぱり・・・恋人だったの?」
「いや、恋人とは言えないな。親友ではあったけどな。」
「本当に?恋人ではなかったの?」
「ああ。恋人ではない。36冊目は、俺にとって命の恩人だ。
18冊目に殺されかけた時に、俺の身代わりになって、
死んだ親友だからこそ、俺には大事な本なんだ。それは、トワも分るよな?」
「うん・・・・・」

トワは悲しそうな顔で、俺の話を聞く。流石にトワだって、
俺が36冊目を大事に思う経緯を聞けば、もう子供ではないのだから、理解は出来るだろう。
ただ、好きだの嫌いだのと言う感情だけでは語れないことが。

「十二は、36冊目の回復を願っているんだよね?」
「そうだ。俺は、絶対にいつか5冊目に会って、36冊目を回復して貰う。
もしも、俺の命と引き換えと言われてもな。」
「十二は・・・そこまでの覚悟があるんだね・・・」

トワは俺の言葉を聞いて、自分の中でも何かを決意したような顔をする。

「十二が迷惑じゃなければ、トワも36冊目さんの回復のお手伝いしたい。
十二・・・トワも手伝っていい?」

俺はトワがいきなり36冊目の回復の手伝いを、願われると思わず、
一瞬だけ固まってしまった。
だが、俺が否定する理由など何もない。むしろ、トワも手伝ってくれるのなら、
俺には嬉しいことだ。

「トワ・・・有難うな。お前が手伝ってくれるなら、俺も助かる。
これからは、トワにもお願いするな?」

俺はトワに真剣な顔で、36冊目の件を頼んだ。
トワは、悲しそうにしてた顔を止めて、しっかりとした顔になり、
俺に頷いて見せた。
てっきり、36冊目に嫉妬とかするのかと思ったけど、
そうならなくて良かったと、俺は心の中で安堵した。
トワも、こうやって成長していくんだな。
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