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第7章「思い出していくほどに・・・」

大体的に行った話し合いは、夕方には終わった。
それでも、朝から話し合い出して、夕方も5時近くまで、昼食もろくに食べずに、
話し合ったので、俺や二四達は、ぐったりと疲れていた。
師匠は、セアと先に自分の部屋に戻り、俺達はリビングに移動し、
昼食兼夕食を食べることになった。
トワや四四も疲れているだろうに、俺達の為に本を用意してくれる。
俺や二四、ゴートンはトワと四四に感謝し、ワイワイと
賑わいながら、食事を開始した。

「四四ちゃんは残ってくれるけど、トワちゃんとは、しばらく会えなくなるね。」
「何よ?ゴートン。私と会えなくなって、寂しいの?」
「そりゃ・・・寂しいよ?本音を言えばさ。4冊で仲良く遊んでたのが、
出来なくなっちゃうんだから。」

ゴートンは食事を食べながら、トワにそう話しかける。
素直に自分の気持ちを打ち明けるゴートンに、トワはちょっと照れたようで、
少し黙ってしまった。お?これはいい雰囲気じゃないか?
俺は、トワとゴートンの会話に聞き耳を立てつつ見守った。

「べ、別にまた今度遊べばいいじゃない!ずっと会えないわけじゃないし、
ゴートン達が東京の方に用事出来て、来ることもあるでしょ?」
「まぁ、そうなんだけどさ・・・」
「あはは。ごーちゃんも、はっきり言えばいいのに。トワちゃんも、
まだしばらくここに、残ってくれないか?ってさ。」
「な?!にっちゃんの馬鹿!十二先輩の前で、そんなこと言うなって!!」

二四が、ゴートンをからかうように言うと、ゴートンが顔を真っ赤にして怒る。
ゴートンが、ここまで二四に怒るのも珍しいな。
と言うか、思いっきり俺の耳に聞こえてるから、ゴートンが
怒る意味は何もないんじゃないか?照れ隠しか?

「俺は、トワ自身が残りたいと言うなら、何も止めたりしないぞ?
ゴートンや二四、それに四四が一緒に居てくれるなら、何も心配ないからな。
トワは、お前達と居て、楽しい経験も出来たはずだ。
だから、ゴートン、二四、四四。トワと仲良くしてくれて、
有難うな。俺からも感謝する。」
「十二ってば・・・まるで父親みたい。」

トワは、俺の言葉に恥ずかしそうにしている。そんなトワを、
ゴートン達も優しい顔で見ていた。
いや、トワは恥ずかしいかもしれないが、俺はゴートン達に感謝しきれない。
ゴートン達が、優しい本喰人達だからこそ、トワにも親切にしてくれたんだからな。
これが敵側や、性格の悪い本喰人なら、トワを人質に取ったりだってあり得るわけで、
こんなに穏やかな日々を過ごせることはなかっただろう。
トワは運が良かったとも言える。俺も、いつかは二四達に眷属が出来たら、
親切にしてやらないとな。恩返しに。

「もう!ゴートンの所為で、変な雰囲気になっちゃったじゃない!」
「ご、ごめんって!悪気はなかったんだよ?!」
「とにかく、また今度、皆で遊びましょう!それでおしまい!
私は、十二と東京に帰るから!!」
「うふふ。今回は、振られちゃいましたね。ゴートン君。」
「もうー四四ちゃんまで、酷いやー」

トワは、ちょっとプンプンしながら、この話題を打ち切ってしまった。
それに、四四もゴートンをからかって、クスクスと笑う。
こうして、賑やかな食事も、後1、2回くらいか。
俺は、この楽しい雰囲気も味わいながら、食事を続けた。
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