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第7章「思い出していくほどに・・・」

真っ暗な空間に俺は居た。俺は、どうやら、あれから疲れて寝てしまったらしい。
と、思っているのに、俺は自分が夢の中にいるとは思えずにいた。
自分の側に、何かの気配を生々しく感じたからだ。

「久しぶりだな。ツヴェルフ。いや、今はもう新しい12冊目と
言うべきかな?」
「ツヴァイ・・・か?」

俺は、声を掛けてくる者が、2冊目だとすぐに分かった。
その声は、前に見た夢の2冊目の声のままだったからだ。
それに、初版本世代に近くなった俺なら、尚更、分かる。
過去には、親友も親友だった存在なのだから、間違うはずもない。
現に、今の俺は、過去の様に、2冊目をツヴァイと呼んでしまった。
15冊目と16冊目に戦う前の俺だったら、絶対に有り得ない事
だったと俺は確信する。

「懐かしいな。お前に、そう呼ばれるのは。懐かしすぎて、心地良ささえ感じる。
やっぱり、今日、会いに来て良かったかもしれないな。」
「何をしに来たんだ?俺を殺しにでも来たのか?まさか、あんたが、
思い出話をしに来たってわけじゃないんだろう?」

俺は、自分が今、どういう状況なのか、把握は出来ずにいたが、
いざって時の為に、2冊目に身構えようとしていた。
2冊目は、そんな俺の行動が面白いのか、短く笑う。

「安心しろ。戦いに来たんじゃない。思い出話をしに・・・
とも言えなくないが、私は、今のお前と話をしに来たんだ。」
「それは・・・随分と今更なんだな?話す気になれば、
いつだって、あんたは俺と話せる機会はあったはずだ。
なのに、どうして今なんだ?」

俺は疑問に思った事を、率直に2冊目に聞いた。
2冊目の言う通り、今は戦うつもりはないようだな。
2冊目の気配は、至って穏やかなもので、邪悪さなど微塵も感じられなかった。

「どうして、今なのか・・・か。私にも、私なりの予定があってね。
それに、子供の頃なら、まだしも、つい最近までのお前は、
私をかなり憎んでいたはずだ。それこそ、出会ったら、
すぐにでも戦闘を開始しそうなくらいにな。」
「その通りだ。俺は、今だって2冊目。あんたを恨んでいる。
18冊目の奴をけしかけて、36冊目を無残に殺させたことをな。
18冊目に、あんなことをさせたのは、2冊目なんだろう?」
「私が、要因を作ったと言う意味では、否定しない。だが、
実行したのは、あくまでも、18冊目の意思だ。」
「ちぃ。相変わらずだな。そういうとこをは昔と同じだ。」

俺が忌々しく思い、舌打ちをして言うと、2冊目は嬉しそうに微笑む。

「初版本世代の頃のお前なら、楽しそうにしてくれただろうに、残念だ。
だが、私の計画には、どのみち36冊目と言う、存在は邪魔だった。
だから、早く消したかったのは、間違いない。」
「何だと?!!」

俺は、2冊目の言葉を聞き、全身が怒りに震えた。
どんな理由があるにしたって、36冊目が、あんな風に殺されるなんて、
あっていいわけがない。
2冊目は、未だに、あの計画の為に、多くの者を巻き込み、
迷惑をかけているのか。
俺は36冊目の事を思うと、2冊目に、どんどんイライラして来た。
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