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第6章「後悔の先にあるもの」

「こうしてみると、十二は、外見が凄く変わったと言う訳ではないのに、
けど、本質と言うか、上手に説明出来ないんですが、一言で言ったら、
別人になっちゃったみたいです。」
「四四から見ると、俺の本質は、そこまで変わったように思えるのか・・・
自分では全然わからないな。」

十が居なくなり、四四的には、更に落ち着けるようになったのか、
俺を見る目が、まだぎこちなくなることはあっても、最初よりは、
変に怯えたり、警戒はしなくなった。
しかし、四四が、ここまで言うからには、トワも、俺の変化には、
敏感に反応するかもしれないな。
一番困るのは、いきなり泣き出されたりしたら、どうしたらいいんだ。
俺が、心の中で、あれこれと不安に思っていると、師匠が助け舟を出してくれる。

「さっきも言ったが、今の十二は急激な変化の所為で、
内面に大きな乱れが生じてしまったのだ。だから、四四にとっては、その大きな乱れが、
まるで、十二が別の本になったように、錯覚してしまうのであろうな。」
「そんなことって、あるものなんですかね?師匠。」
「現にお前に自身に起こっているであろう。ま、お前は当事者だからな。
わからないのも仕方がないが。」
「師匠から、気の鎮め方を学べれば、俺の内面の乱れも、良くなりますかね?」
「今は、その方法を試すよりあるまい。それで駄目なら、
お前は、しばらく洞窟暮らしかもな。」
「うぅ・・・それは困りましたね。俺的には、そうなって欲しくないな・・・」

俺が師匠の言葉に唸っていると、四四が、フフフと短く笑う。
今のやりとりで、何か面白いことが四四にあったのか?

「私、ちょっとだけ安心しました。今の会話は、十二だ。
って思えたから。」
「へぇ?そうなのか?俺としては、師匠の前で情けない感じで、
恥ずかしい姿なんだが・・・」
「そこがいいんです。だって、今日のこの洞窟で、十二を最初に見た時は、
誰も寄せつけない、冷酷で残虐な感じがしましたから。
けど、今は、それが少しは薄れた気がします。」
「そんな風に最初に感じたのなら、そりゃー怯えられるよな。」
「ご、ごめんなさい。そうは、思いたくなかったんですけど・・・」
「いや、四四は何も悪くないさ。自分の内面の悪い部分を、
ちゃんと制御出来ていない俺が悪いんだ。気にするな。」
「有難う・・・十二。」

四四は、少しだけ照れて、俺にお礼を言う。お礼なんていいのにと、俺は言おうとしたが、
照れた四四が、ちょっと可愛かったので黙る事にした。
そーいや、最近は四四は、可愛い感じになったよな。
トワと、遊んだりしてる影響があったりするのだろうか?
過去の四四だったら、趣味じゃなさそうな、服装だったりを
最近しているのを俺も見てるからな。
トワと化粧したりもしてるみたいだし、それを考えるなら、
四四も良い意味で内面に変化が出て来たのではないかと、俺は思うけどな。
ま、そこは変に指摘するべきじゃないな。男の俺が。
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