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第6章「後悔の先にあるもの」

「後、失礼な事を言っていると、承知で言うけど・・・」
「お、おう・・・なんだ?」

俺は、十が神妙そうな顔になるので、身構えてしまう。
あの十が、言いづらそうにしてるんだから、良い話ではなさそうだ。
俺も、複雑な気持ちで十の言葉を待っていると、十が口を開く。

「今の十二には、時々、禍々しいものを感じるよ。十二本人は、
そんなつもりがないと分かってはいるんだけどさ、
強い殺意のようなものを感じると言うか。稀にだが、近寄り難い雰囲気が出てる時がある。」
「ま、まじか?俺から、そんな・・・」

俺は十に指摘されて、悩む。あの急激な成長で、今の俺は、
過去の俺の悪い部分を、ちゃんと抑え込めてないのかもしれないな。
と、言うか、今の今まで、俺が1冊目から食べさせられた、
あの古い1枚の紙について、何も聞かされていないんだよな。
でも、大体想像はついているがな・・・
あれは過去の俺の身体の1部なんだろうとは・・・
じゃなければ、俺が過去の初版本世代並の力に近づけるわけがない。
どうにかして、過去の俺は、今の俺の為に、自分の身体の1部を、
保管し、それを1冊目に、約束して託したっぽいよな。
そんなとこは、過去の俺も抜け目がなかったわけか?

「すまないな。十。俺も、今日に突然、色々な事が起こって、
俺自身も対処しきれてないんだ。
禍々しい気が出てしまうのは、きっと過去の俺が戦闘狂で、
十と戦えたら、どうなるだろうかと、つい考えてしまうからだと思う。悪いな。」
「いや、そうではないかと、自分も思っていたから、
無理な事を自分の方が、言ってしまっているとは思ってるんだ。
でも、そのまま、拠点には戻らない方がいいと思うな。
六から、気持ちの静め方を、聞いてからにした方がいい。
でないと、二四達が、今の十二に、無用な恐怖とかを覚えてしまっては、
せっかくの良い関係にヒビが入るかもしれないからね。」
「十の言う通りだな。有難う、心配してくれて。」
「いや、大したアドバイスじゃないよ。自分がしなくても、六がしたと思うからね。」
「そうだとしてもさ。感謝させてくれ。」

俺は、十と会話し、モヤモヤしていたものが、少し減った気持ちになった。
今の俺は、暴走こそしないで済んではいるが、自分が、勝手に誰かの事を、
こいつは強敵だから戦ってみたい!と思ってしまうような存在にあったら、
どうなってしまうか、わからない状態だった。
敵から挑発されるようなことになれば、今の俺は、自分を抑えきれずに、
戦ってしまうかもしれない。いや、今だったら、まじで危ない。

「十が言ってくれたように、この15冊目と16冊目の件が落ち着いたら、
すぐに師匠から、気の鎮め方を学ぶよ。」
「そうするといいよ。六も、気前良く教えるはずさ。
自分の弟子は、ちゃんと大事にする本だからね。」
「そうだな。師匠は、そういう本だ。だから、信頼出来るんだけどな。」

俺は、十と師匠の話で、盛り上がる。十から聞ける師匠の話は、
俺には新鮮で面白かった。
やっぱり、友人である十には、意外な顔を見せているんだなー
師匠でも。
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