第6章「後悔の先にあるもの」
「うむ。とにかく無事で良かったぞ、十二。
拙者も、まさか、今日でいきなり1冊目が、十二に15冊目と
16冊目と戦わせる予定だと、十から聞いた時は冷や汗が出たぞ。」
「師匠、それは俺もですよ。しかも、断食してて、力も限界だった時にですよ?
俺も、流石に15冊目と16冊目に勝てずに、
最悪は「喰われる」と覚悟しましたから。」
「拙者もな、危惧して、十に聞いたのだ。十二は、殺されたりしないだろうな?とな。
でなければ、拙者は一気に、二四達を敵にだって回しかねなかったからな。
断食で弱っているお前を、無謀な戦いに行かせたと知れば、
二四達は、拙者を怪しみ、信頼をすぐに無くしただろうな。」
「師匠・・・」
「昔の拙者なら、仮にそうなっても、気にはしなかっただろう。
拙者は、いちいち人の目など気にしないし、釈明もしたことがない。
だが、歳は取りたくないものだな。今は、二四達や、セア殿に、
心底軽蔑されるのだけは、怖いと思うようになってしまったよ。」
師匠は珍しく苦笑いし、少し弱々しくなったようにさえ、見えた。
自分に弱点が出来てしまったと、師匠は俺に言ったようなものだ。
だが、それは俺とて同じだ。
「師匠、それは、俺も一緒ですよ。」
「十二。そうか。」
俺と師匠は不必要に言葉を交わす事なく、互いの顔を見て納得した。
十は、その光景に水を差すこともなく、しばらく黙って、
俺達の会話を聞いていてくれた。
「ところで、十二。お前が抱えている本達はまさか?」
「はい。15冊目と16冊目です。俺との戦いで、激しく力を消耗し、
本の姿になってしまいました。」
「うむ、そうか。なら、今はその方がいいかもしれぬな。
十二が、引き取らなければ、どのみち8冊目が回収し、2冊目の手に戻しただろうからな。
それが阻止出来た事は、良い事だったと思うぞ。」
「はい。俺もそう思ったので、すぐにこいつらを回収しました。
はっきりとはしてませんが、こいつらと戦う事になった背景には、
2冊目側の陰謀がありそうなんです。」
「なんと?それは真か?十二?」
俺の言葉を聞き、師匠は俺と俺の抱きかかえている15冊目と16冊目を見た。
それから、十に向き直り、話をする。
「十は、この15冊目と16冊目の事は、調べてあるのか?」
「まだ、調査中なとこはあるが、十二の言うように、望んで、
2冊目側に組したわけではなさそうだ。」
「ほう?」
「やっぱり、何か人質みたいなのを取られて、脅されていたのか?」
俺も師匠達の会話に参加し、十に聞いてみると、十は、俺に頷いて見せた。
「自分は、そうじゃないかと思ってる。どうやら、15冊目と16冊目は、
ある人間の女性と一緒に暮らしていたみたいなんだ。」
「やはりな・・・」
「やはりとは?十二も、何か、その辺の話を、そやつらから聞いたのか?」
師匠も悩んだ顔で、俺に聞いてくるので、俺は15冊目と16冊目と
戦った時に聞いた言葉を話した。
「俺に向かって言った言葉ではないのですが、こいつらは、
彼女と言う存在の事を心配してたのは確かです。
自分達に何かあったら、彼女の手助けが出来なくなってしまうと
言っていたのは、俺は間違いなく聞いてます。
だから、十の言う、その人間の女の事だと思います。」
「だったら、十二の言う通りでしょうね。それくらいしか、
15冊目と16冊目の周りに女性の影はありませんから。」
と、十は、きっぱりとした態度で、俺と師匠に断言した。
最初は変に2冊目から干渉されない為に協力したのかと思ったが、
どうやらそれは違ったみたいだな。
その彼女を救う為に、協力させられていたのか。だったのなら、
本当に胸糞悪い話だ。
拙者も、まさか、今日でいきなり1冊目が、十二に15冊目と
16冊目と戦わせる予定だと、十から聞いた時は冷や汗が出たぞ。」
「師匠、それは俺もですよ。しかも、断食してて、力も限界だった時にですよ?
俺も、流石に15冊目と16冊目に勝てずに、
最悪は「喰われる」と覚悟しましたから。」
「拙者もな、危惧して、十に聞いたのだ。十二は、殺されたりしないだろうな?とな。
でなければ、拙者は一気に、二四達を敵にだって回しかねなかったからな。
断食で弱っているお前を、無謀な戦いに行かせたと知れば、
二四達は、拙者を怪しみ、信頼をすぐに無くしただろうな。」
「師匠・・・」
「昔の拙者なら、仮にそうなっても、気にはしなかっただろう。
拙者は、いちいち人の目など気にしないし、釈明もしたことがない。
だが、歳は取りたくないものだな。今は、二四達や、セア殿に、
心底軽蔑されるのだけは、怖いと思うようになってしまったよ。」
師匠は珍しく苦笑いし、少し弱々しくなったようにさえ、見えた。
自分に弱点が出来てしまったと、師匠は俺に言ったようなものだ。
だが、それは俺とて同じだ。
「師匠、それは、俺も一緒ですよ。」
「十二。そうか。」
俺と師匠は不必要に言葉を交わす事なく、互いの顔を見て納得した。
十は、その光景に水を差すこともなく、しばらく黙って、
俺達の会話を聞いていてくれた。
「ところで、十二。お前が抱えている本達はまさか?」
「はい。15冊目と16冊目です。俺との戦いで、激しく力を消耗し、
本の姿になってしまいました。」
「うむ、そうか。なら、今はその方がいいかもしれぬな。
十二が、引き取らなければ、どのみち8冊目が回収し、2冊目の手に戻しただろうからな。
それが阻止出来た事は、良い事だったと思うぞ。」
「はい。俺もそう思ったので、すぐにこいつらを回収しました。
はっきりとはしてませんが、こいつらと戦う事になった背景には、
2冊目側の陰謀がありそうなんです。」
「なんと?それは真か?十二?」
俺の言葉を聞き、師匠は俺と俺の抱きかかえている15冊目と16冊目を見た。
それから、十に向き直り、話をする。
「十は、この15冊目と16冊目の事は、調べてあるのか?」
「まだ、調査中なとこはあるが、十二の言うように、望んで、
2冊目側に組したわけではなさそうだ。」
「ほう?」
「やっぱり、何か人質みたいなのを取られて、脅されていたのか?」
俺も師匠達の会話に参加し、十に聞いてみると、十は、俺に頷いて見せた。
「自分は、そうじゃないかと思ってる。どうやら、15冊目と16冊目は、
ある人間の女性と一緒に暮らしていたみたいなんだ。」
「やはりな・・・」
「やはりとは?十二も、何か、その辺の話を、そやつらから聞いたのか?」
師匠も悩んだ顔で、俺に聞いてくるので、俺は15冊目と16冊目と
戦った時に聞いた言葉を話した。
「俺に向かって言った言葉ではないのですが、こいつらは、
彼女と言う存在の事を心配してたのは確かです。
自分達に何かあったら、彼女の手助けが出来なくなってしまうと
言っていたのは、俺は間違いなく聞いてます。
だから、十の言う、その人間の女の事だと思います。」
「だったら、十二の言う通りでしょうね。それくらいしか、
15冊目と16冊目の周りに女性の影はありませんから。」
と、十は、きっぱりとした態度で、俺と師匠に断言した。
最初は変に2冊目から干渉されない為に協力したのかと思ったが、
どうやらそれは違ったみたいだな。
その彼女を救う為に、協力させられていたのか。だったのなら、
本当に胸糞悪い話だ。