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第1章「下巻の奴等」

床に無造作に転がっている50冊目は、気絶しているようだった。
俺がこの部屋に入って来ても、何の反応も示さない。

「よっぽど、24冊目に弱らされたらしいな。噂では、お前らは
互角だと聞いたけど、これじゃ確実に24冊目の方が上じゃねぇか。
にしても、18と組んだとか言ってたけど、18が24冊目に、
特別、力を貸した様子は無さそうだけどな・・・。」

俺は、どうしても何かが引っかかる気がしたが、今はそれどころではない。
とにかく、ここから脱出しなければ。

「しょうがねぇな。こいつも助けてやるか。お前の事は信用出来なかったけど、
こうして監禁されてる以上は、お前も俺と同じ被害者ではあったみたいだからな。」

俺は50冊目を抱きかかえた。正直言って、まだこの力を
使いたくなかったが、仕方がない。
俺は自分の1つの能力を使って、自分の本拠地の5階に、50冊目を抱えて帰って来た。
そして、トワがいる2階に行く。

「え?なんで?十二、いつ帰って来たの?」

トワは俺を見て驚く。無理もない、普通に帰って来たのなら、
1階から俺は上がってくるだろう。
しかし、俺は突然、5階から降りて来たのだ。
ビックリしたとしても、しょうがない。ましてや、大きいお土産つきだ。

「この馬鹿を助ける為に、早速、奥の手の1つを使う羽目になったんだよ。
あー重てぇー!!」

俺は、50冊目を長めのソファーに叩きつけてやった。

「アダ!!な、何?!!何が起きたの?!!」

すると、気絶し、弱っているかと思った、50冊目は勢い良く起きて来た。
何だよ、こいつ・・・思ったよりも元気じゃねぇか。

「あ、あれ?!ここは、12冊目の家?僕は、24冊目の家に居たんじゃ?」

50冊目は辺りを、激しく見回して、俺やトワを見つけて確認する。
俺は溜息をつき、50冊目に今までの経緯を、簡単に話してやった。
すると・・・

「有り難う!12冊目!やっぱり、貴方は親友と話していた本だ!」
「はぁ?何の話だ?」

50冊目は、キラキラとした瞳と、最高級の微笑みで俺の手を取り、
感謝しつつ、意味の分からない言葉も言う。親友と話してたとか、なんだそりゃ?
俺が疑問に思っていると、激しい腹の虫の鳴る音が聞こえる。
俺にまで聞こえた腹の虫の鳴く音の方を見ると、50冊目は、
今度は顔を真っ赤にして、乙女の様に恥じらっている。
犯人はこいつか。

「ご、ごめん。実は3日以上、何も喰べてなくて・・・」
「はぁ・・・しょうがねぇなぁ・・・トワ、適当な本でいいから、
こいつに飯用意してやれ。」
「え?何で?こいつに、あげてもいいの?」
「ああ、大丈夫だ。こいつは敵じゃない。こいつも、監禁されてたからな。」
「む・・・十二がそう言うならいいけどさ・・・」

俺の言葉に、渋々な顔で従い、トワは3階に飯を物色しに行った。
俺は、飯が用意されるまでの間、50冊目と会話することにした。

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