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第6章「後悔の先にあるもの」

「嘘でしょ?!僕の攻撃をコピーした?!」

俺の反撃に、16冊目が仰天し、何とも情けない声を出す。
15冊目も、短く舌打ちをし、俺から距離を取る。

「いや、あれはコピーしたよりも、跳ね返された感じがするな。」
「え?じゃあ、まさか?さっきの僕の攻撃を?」
「嫌な予感しかしないが、ダイスの能力を吸収して、そっくり返したってところだろうな。」
「ず、ずるいよ!そんなの最早ゲームで言ったら、チートじゃん!」

16冊目は、俺の行動が余程ムカつくのか、その場で地団駄を踏む。
しかし、15冊目は16冊目と逆で、顔色が悪くなっていく。

「ダイスの言う通りだよ。チートもいいところだよ。あの能力は、
きっと、最初に出した鏡の迷宮の能力を、ただ応用しただけだ。
最低限の能力で・・・」
「正解だ。15冊目。よく気づいたな。」

俺は、15冊目の鋭い考察に感心し、嬉しくなっていた。
こんなことが出来ると知ったのは、しかも今さっきのことだ。
どうやら俺は、今自分が持っている能力の力のさじ加減も
自由に出来るみたいだな。
この領域に達したのなら、師匠レベルだと言ってもいいだろう。

「初版本世代に近くなったと言うだけで、ここまで強くなるものなのか?
もう12冊目は中巻クラスなんてレベルじゃない。」
「クソ!僕らだって、同じ世代になれれば・・・」

15冊目と16冊目は、恨めしそうな顔で俺を見ていた。
いきなり、上巻クラス級な力を持たれたら、恨まれてもしょうがないよな。
けど、この事態は、俺だって正直言って、想定しなかったんだ。
15冊目と16冊目は、知っているのかどうか知らないが、
俺は今日、急に戦う事になったんだからな。
3冊目と10冊目も絡んでの目論見そうではあるが。
師匠も、もしかしたら10冊目辺りから聞いているか?

「どうした?さっきみたいに、俺にもっと攻撃して来いよ?
今度は、あの能力は使わないで、いてやるからよ?」

俺は、自分がどれだけ変化したのかを知りたくて、
15冊目と16冊目を挑発してしまっていた。
今の俺は、どうあっても、もっともっと戦いたいらしい。
命のやり取りを感じられるくらいに、激しい戦いを。
15冊目と16冊目は、また戦闘態勢に入り、攻撃のチャンスを伺う。

「馬鹿にしやがってさ。最初は、逃げるようにして、持久戦に持ち込もうとした癖に。
今度はかかってこいとか・・・」
「ダイス、冷静になれ!この12冊目をさっきの12冊目だと
思うな。
全く新しい別の本だと思うんだ。
過去に最強だと言われていた12冊目は、最低最悪で、戦闘狂だったらしいからな。」
「うげぇ。マジ?」
「マジだ。8冊目の言葉だから、全面的には信じてなかったけど、
今となっては、信じるしかない。」
「だね・・・現に、目の前で、こんだけ強くなった12冊目がいるとね・・・」

俺はこれを聞いて、ちょっと気分が悪くなった。
確かに、過去の俺は2冊目と同じくらい最低だったかもしれないが、
それを8冊目に面白可笑しく、他の本喰人に吹聴されるのは、
流石にいい気分はしないぞ。
8冊目・・・今度会う時があったら、容赦しないからな。
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