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第6章「後悔の先にあるもの」

「どうしたんだよ!ベリー!さっきから!12冊目と何の話をしてるの?!」
「ダイス・・・12冊目は、さっきとは比較にならない程、強くなってしまった。」
「え?」
「俺達2冊がかりで、命懸けで戦っても無理だろうと思う。」
「そんな?!あんな、さっきの古びた紙きれ1枚を食べただけで?!」

15冊目は、俺と会話の途中で、16冊目に肩を掴まれながら、喚き散らすように質問され、
苦悩した顔で、16冊目の言葉に答えていた。
この調子だと、16冊目の方は、初版本世代の話を、全く知らないらしいな。

「ダイス。前に8冊目が、薄っすらと話してただろう?本喰人にも世代があるって。」
「あ、あれ?確かに言ってたけどさ。」
「俺の推測だけど、12冊目は、さっきの1枚目が食べさせた、
あの紙の影響で、過去に最強に強かったと言われる世代並みの力を、
覚醒させたんだと思う。そして、たぶん、その世代の時の
12冊目が、中巻クラスで、1番強かったと言われた時じゃないかと。」
「そ、そんな?!それじゃ!卑怯じゃないか!」
「卑怯だって、俺も言ってやりたいさ。けど、俺達とした約束は、
あくまでも12冊目と戦って勝つと言う事だけだ。
現に1冊目は、戦いには確かに参加してない。」
「それは、そうだけどさ!でも、ずるいのは、ずるいでしょ!
過去に最強だと噂されていた12冊目の状態にしておいてさ!」

15冊目の話を聞きながらも、16冊目は悔しそうにしながら、1冊目と俺を睨む。
まぁ・・・ムカつく気持ちはわからなくもない。
俺も逆な事をされていたら、相当、激怒していたに違いない。

「16冊目。お前の気持ちはわからなくもない。だけどな?
お前達は俺と戦うしかないんだよ。わかるだろ?」
「きぃ!1冊目も1冊目なら、12冊目も、とことん最低な本だね!」
「最低で、済まなかったな。けど、こんな事になるなんて、
俺も全然、想像していなかったことなんだ。
お互い中巻クラスは、きついもんだよな?上巻の奴らに結局、振り回される。
この戦いを仕組んだのは、そこの1冊目とあの2冊目だ。
だから、俺だけを恨むのは、お門違いだぞ?」

俺がそう言うと、15冊目と16冊目は、顔を真っ赤にして怒った。
今の俺から、そう言われても、馬鹿にされたようにしか思えないよな。
俺は、真実を言ったつもりなのだが。15冊目と16冊目も
2冊目の性格の悪さを、ちゃんとわかってないから、仕方がないか。

「負けると、仮にわかっていても、無抵抗でやられる気はありません。」
「僕も、それはベリーと同じだよ!それに覚醒したばっかりなら、
まだ、その力をちゃんと使いこなせないかもしれない!
なら、僕達にだって、勝ち目はあるかもしれない!」
「ダイス、その通りだ!12冊目が、力の使い方を、はっきり思い出す前に、
さっきのように、叩き伏せよう!」

そう15冊目と16冊目が、言うと、2冊達は俊敏に左右に飛び、
俺を挟み撃ちにしようとする。
俺は、2冊達の行動に、一瞬だけ、笑ってしまう。
2冊達を馬鹿にしてではない。また、戦えることが嬉しくて、
俺は笑ってしまうのだ。
初版本世代の頃の俺は、戦闘狂だったらしいからな。
その所為でなんだろうな。こんなにも嬉しいと思ってしまうのは。
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