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第6章「後悔の先にあるもの」

今の俺が、女の存在を気に掛けている中で、過去の俺と女は、
まだまだ会話を続けていた。
過去の俺は、またイライラした感じに戻り、女の話に食い気味になる。

「あいつの計画してたことが無駄と言うなら、お前は、2冊目に、
その話はしてやらなかったのか?」
「したわ。私の知ってる限りの話を隠さず、全部ね。でも・・・」
「聞く耳は持たなかった感じか。無理も無いな。あいつは、俺が冗談でも、
あの計画が失敗したら、どーするんだって、聞いただけで、
本気で怒ったくらいだからな。普段は、怒らないあいつがな。」
「12冊目でも、怒ったくらいですか?」
「ああ。あの計画だけは、あいつにとっては、自分の生きていく上ので、
生きがいなんだと言ってたな。
どんな犠牲を払っても、自分が最後には死ぬことになっても、
構わないと言ってたくらいだ。」
「そうなんですね・・・だから、余計に聞いてくれなかったのか・・・」

過去の俺から、2冊目のことを聞き、女は悲しい顔になった。
今の俺も、困った顔になっていたことだろう。

(過去の俺が、あそこまで言うのなら、2冊目の説得なんて、
無理そうだな。
しかし、2冊目がそこまで執着する、その計画って・・・
幻の0冊目を出現させるだけじゃなくて、他にも、もっと深い理由がありそうだな。)

「私は、どんな酷い本喰人であっても、死んでは欲しくないの。」
「へぇ・・・こんな俺や、あんな2冊目でもか?」
「うん。2冊目のあの計画の為に、多くの本喰人や人間達を殺したとしても。
私は、2冊目にも死んでほしくないわ。4冊目も、6冊目もね!」
「お前の言葉を聞くと、お前の方が狂ってるよう見えるぜ。」
「そうかな?私が存在意義を、知れば、狂ってるとまでは、
思わないと思うけどなぁ。」
「お前の存在意義?」

過去の俺は、女の言葉に疑問を抱く。もちろん、今の俺もだ。

「ま、それは、いつか話してあげるわ!貴方が、もう少し、
私に心を開いてくれたらね!」
「はぁ?俺が、お前に心に開くだぁ?あるわけねぇーだろ!そんなの!」
「むぅ!何よ!わからないじゃないの!!」

過去の俺が、物凄く呆れた顔で女に言うと、女は、まるでトワの様に、
プンプンと怒っている。
その怒り方は、トワに、本当に似ていて、今の俺は、少し笑いそうになった。
悪い存在ではなさそうだな。あの雰囲気だと。
現代にも、どこかに居る存在になら、会ってみたいな。
出来るなら、トワと一緒に会ってみたいなと、俺は思った。
と、俺がこの夢を見て、区切りが良さそうな所で、俺は自分の身体の異変に気付く。
あの発狂までしていた、激痛が収まっており、急激に成長した気がしたのだ。
俺が、暗闇から光を取り戻し、自分の身の周りを確認すると、
15冊目と16冊目が、かなり動揺して、困った顔をしていた。
1冊目は、目的が無事に果たされたと、安心した顔をしている。
俺は完全に身体が回復し、気持ちも、何故だか、自分が自分でないような気分になる。
前に36冊目が死んだ後の、あの時の俺になったような、まさに、
あの時の気分だ。
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