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第6章「後悔の先にあるもの」

「私と仲良くは無理でも、最低限、和解はしたいわ。」
「和解だと?は!それも無理な話だな。俺は、お前の提案に、
何一つ応じる気はないからな。」

過去の俺は、引き続き悪態をついたままで、目の前にいる女と会話を続ける。
どうあっても、会話を続けている女とは、親しくなりたくないらしい。
短い会話の関わり合いさえ、本当なら持ちたくもないと言った態度だ。

「もう!全く、頑固ね!12冊目は!」
「あーあー好きに言えよ。俺は頑固だよ。」
「2冊目に関わる事もあるから言うのに、それでもいいの?」
「何?あいつに関わる事だと?」
「うん。」
「何だよ、それ?」

過去の俺は訝しむ顔で、目の前の女を見て、睨む。
女は過去の俺に鋭く睨まれても、堂々とした態度でいる。

「知りたい?」
「何だよ、ここまできて、もったいぶって教えない気か?」
「なら、まず、ちゃんと私と会話してくれる?」
「は?」
「だから、そんな態度じゃなくて、普通にちゃんと会話してくれるかって、
聞いてるの!どうなの?」
「んだよ・・・面倒臭い女だな・・・わかったよ。だから、さっさと話してくれよ。」

拘束されて身動きがとれない、過去の俺は、女の言葉に深い溜息を
ついた後で、女の提案に承諾し、目を閉じた。

「2冊目の・・・親友の為なら、妥協はするのね。」
「悪いか?この俺が、そんなことして?」
「悪くはないわ。その友情に対してはね。でも、貴方達は、自分達のことしか考えてなかった。
自分達さえ良ければ、同じ本喰人でも、人間でも、容赦なく殺してきた。」
「そうだな。だが、俺はそれが悪い事だったとは思っていない。
人間達だって同じようなものだろ?」
「そうね・・・私達を生み出してくれた人間達でさえ・・・
そんな考えの人が居たくらいだからね。
でもね?どんなに、これからも2冊目が、計画の為に、殺戮を繰り返そうとも、
2冊目の計画が上手くいくことはないの。」
「な、何だと?!どういうことだ!説明しろ!」

過去の俺は閉じていた目を見開き、目の前の女に食って掛かった。
親友だからこそ、手伝ってきた、2冊目の計画が、実は無駄だったとでも言うのか?

「2冊目が、望んでいるモノは、知ってるわよね?」
「ああ、知ってる。幻の0冊目だ。」
「そう。でも、その0冊目は、本喰人が、最後の1冊に
なったとしても、現れることはないわ。」
「どうしてだ!俺達は、過去に俺達を生み出した人間達に聞いたんだぞ?
それが嘘だったと言うのか?!」
「嘘と言うよりも、彼らも誤解していたんだわ。その話をね。」

今の俺は、その女の言葉に耳を疑った。幻の0冊目?
いや、今はその事には触れないでおこう。
しかし、過去の時点で、それが分かっていたのなら何故、
今も2冊目はその計画を諦めることなく、続けているのだ?
この女の言葉に、2冊目は今現在も耳を全く貸さないからか?
いや、この女が駄目でも、1冊目や3冊目だっているではないか。
1冊目や3冊目が、2冊目を説得しても駄目だったのか?
敵だと思っているから、信じなかった?
俺は、話もさることながら、この女の存在が、凄く気になった。
この女は、一体何者なのだ?
と言うか、現代にもいるのか?今の俺は、噂すら聞いたことが無い存在だが。
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