俺は、発狂しながらも、白昼夢を見ていた。いや、夢じゃなく、
前にあったように、初版本世代の俺の過去を思い出しているのかもしれない。

「鬱陶しい女だな！お前はよ！」
「はいはい！そうだね。」
「そうとこだぞ！そういうとこ！！！」

俺は、今まで見たこともない、女に何やら怒っていた。

（え？３６冊目・・・？）

俺はその女の声に、一瞬だけ３６冊目を感じる。いや、声は似ているが、外見は全然違っていた。
むしろ外見は・・・

（え？トワ？！）

夢の中で怒っている俺に対して、その女は、俺に振り向き、明るく微笑んでいた。
怒っている俺をからかい、楽しんでいるかの様だった。
俺は唖然としながら、その女の外見を見ていたが、夢の中の俺は、
激しくその女にイライラしている。

「１冊目の野郎に頼んで、俺は殺すなり、封印すればいいだろう。
俺は、お前達側にはつかないぞ！男が男の友情を裏切るとか、
んな格好悪いこと出来ないからな！」
「うーん、それは困りましたね？」
「何が困りましたね？だ！１ミリも思ってもいない癖によぉ！」
「うふふ。そうですね♪」

夢の中の俺は、その女のやり取りに更にイライラしていた。
完全に馬鹿にされている。今の俺ですら、そう思える態度だ。
まるで、今の俺がトワにからかわれているみたいで、俺も、
少し複雑な気分になる。
だが、よくよく、その女の外見を見たら、トワに瓜二つと言う程、
似ている感じでもなかった。
髪の毛の色も瞳も、年齢も違いそうだ。
その女はトワよりは、もう少し年上で、今の俺くらいの年齢だろうか？

「くそ！こんな拘束さえ、されていけなければ、すぐにお前の首なんかへし折ってやるのによ！」
「また、１２冊目はそんな物騒な事を言う。私に危害を加えられないのは、
もう何度も経験したでしょ？」
「ぬぐぅ・・・だから、余計にムカつくんだよ！ひ弱そうな女のなりをしてるのによぉ・・・」
「私は、本当にひ弱なの女の子なの！１２冊目みたいな乱暴な本がいるから、
私はこの能力を与えて貰ったんだと思うわ！」
「ふん。お前のどこがひ弱なんだ？ひ弱な女の子が、この俺を馬鹿にして、
そんな楽しそうな顔が出来るかよ。」
「私は１２冊目を馬鹿になんかしてないわ。私は、貴方と仲良くなりたいだけよ。」
「は？仲良くなりたい？お前・・・頭湧いてるんじゃねぇの？」
「もうーどうして、１２冊目って、そんな言い方しか出来ないの？」

その女は、溜息をつきながら、夢の中の俺を、呆れた顔しながら見ている。
その態度は、毎回こんな感じになると言った雰囲気を、俺に感じさせた。
これは、この女と過去の俺は、わりかし話をしている間柄なのか？
けど、この女は、どうしてだか、トワの面影を俺は感じる。
トワに、もし人間で言う母親となる存在がいたら、こんな感じになりそうな。
俺が、そう感じるのは、今の俺の中で知っている女達の中で、
トワが一番イメージに近いからなのか？