プロローグ
「本田サナエです。今回はよろしくお願いします。」
「こちらこそ、本堂に買い取りのご連絡有難うございます。
本堂の店主をしております、本堂 十二(ほんどう とうじ)です。
では、早速、本の査定に入りたいのですが、宜しいでしょうか?」
「はい!祖父の書斎はこちらです。」
俺に祖父の本の買い取りを依頼して来た女は、すんなりと俺を、
祖父の書斎に案内してくれた。
俺は、すぐに実感していた。この女の祖父の書斎からは、
かなり多くの「特殊な本」が存在していると。
俺は、少し興奮してしまいそうになるのを抑え、女に向き合った。
「かなり、膨大な量ですね。これは、少々のお時間を頂くことに
なってしまいそうですが、構わないでしょうか?」
「はい。私も引っ越しの準備などしておりますので、
今日の夜近くまで掛かっても大丈夫です!」
「そうですか。それは大変に有難いです。では、早速、査定させて頂きます。」
「はい。では、私はここを離れますので、何かあったら、
呼んで下さい。家の中には居ますので。」
「承知しました。」
俺は、いつも誰にでもしてるやり取りをして、この女の祖父の
所持していた本を調べ始めた。
「この人物は、よほど本が好きだったみたいだな。管理も悪くないし、
愛着のある扱いをしてるのもわかる。この古い本からは、
それなりの人物の歴史も感じる。何代か受け継がれた本だったんだろうが、
残念な事に孫の代で手放される羽目になったようだな。」
そう、「特殊な本」は何も作り手だけの話ではない。
その本をどう扱ってきたか、その本の歴史や、その本の持ち主の
執念みたいなものも、ただの本を「特殊な本」に変える。
要するに、ただ古いだけでは「特殊な本」にはならない。
それに、著名人が書いたからと言って「特殊な本」になるかと
言うとそうでないのと一緒だ。
「特殊な本」になるには、複雑な仕組みがある。
それは俺達、本喰人であっても、明確な答えはわからない。
「さて、じゃーどれが俺の飯になるか、調べるとするか。」
俺だけになったのを確認して、俺はさっさと本を仕分けした。
食べれない、不味い、普通、旨い、上級品と、
俺達、本喰人から見たら、こんな感じの仕分けだ。
それでも、今回のこの本の買い取りは当たりだ。
ほとんどの本が普通から上級品と言った感じの本ばかりだ。
「一時的に値は張るが、その分、保存食としても保管出来るし、
払えない額でもないから、この際、全部買おう。
それに、上客は次の上客を生むしな。」
俺は、うきうきとした気分で、どんどん、普通の本の査定では
ありえない速さで、仕事をこなしていった。
それに、あの女は本には詳しくなさそうだから、本の査定にも、
うるさく言ってこなさそうだ。
希望金額を最初にうまく聞き出して、それに上乗せした金額でも出せば文句あるまい。
俺が飯を探すのに、この手の仕事をしてきたが、今は時代が
時代なのか、古本の値段は一気に下がっている。
だから、売る側も、昔ほど強欲な奴も少なくなってる。
特にあの手の若い女なら尚更だ。
本田サナエと名乗った女は、俺が見た限りでは20代くらいだろう。
引っ越しの為に早く売捌いてしまいたいと言う気持ちが、
ひしひしと伝わってきていた。
ま、そうした客の方が、俺には何より有難いわけだが。
「こちらこそ、本堂に買い取りのご連絡有難うございます。
本堂の店主をしております、本堂 十二(ほんどう とうじ)です。
では、早速、本の査定に入りたいのですが、宜しいでしょうか?」
「はい!祖父の書斎はこちらです。」
俺に祖父の本の買い取りを依頼して来た女は、すんなりと俺を、
祖父の書斎に案内してくれた。
俺は、すぐに実感していた。この女の祖父の書斎からは、
かなり多くの「特殊な本」が存在していると。
俺は、少し興奮してしまいそうになるのを抑え、女に向き合った。
「かなり、膨大な量ですね。これは、少々のお時間を頂くことに
なってしまいそうですが、構わないでしょうか?」
「はい。私も引っ越しの準備などしておりますので、
今日の夜近くまで掛かっても大丈夫です!」
「そうですか。それは大変に有難いです。では、早速、査定させて頂きます。」
「はい。では、私はここを離れますので、何かあったら、
呼んで下さい。家の中には居ますので。」
「承知しました。」
俺は、いつも誰にでもしてるやり取りをして、この女の祖父の
所持していた本を調べ始めた。
「この人物は、よほど本が好きだったみたいだな。管理も悪くないし、
愛着のある扱いをしてるのもわかる。この古い本からは、
それなりの人物の歴史も感じる。何代か受け継がれた本だったんだろうが、
残念な事に孫の代で手放される羽目になったようだな。」
そう、「特殊な本」は何も作り手だけの話ではない。
その本をどう扱ってきたか、その本の歴史や、その本の持ち主の
執念みたいなものも、ただの本を「特殊な本」に変える。
要するに、ただ古いだけでは「特殊な本」にはならない。
それに、著名人が書いたからと言って「特殊な本」になるかと
言うとそうでないのと一緒だ。
「特殊な本」になるには、複雑な仕組みがある。
それは俺達、本喰人であっても、明確な答えはわからない。
「さて、じゃーどれが俺の飯になるか、調べるとするか。」
俺だけになったのを確認して、俺はさっさと本を仕分けした。
食べれない、不味い、普通、旨い、上級品と、
俺達、本喰人から見たら、こんな感じの仕分けだ。
それでも、今回のこの本の買い取りは当たりだ。
ほとんどの本が普通から上級品と言った感じの本ばかりだ。
「一時的に値は張るが、その分、保存食としても保管出来るし、
払えない額でもないから、この際、全部買おう。
それに、上客は次の上客を生むしな。」
俺は、うきうきとした気分で、どんどん、普通の本の査定では
ありえない速さで、仕事をこなしていった。
それに、あの女は本には詳しくなさそうだから、本の査定にも、
うるさく言ってこなさそうだ。
希望金額を最初にうまく聞き出して、それに上乗せした金額でも出せば文句あるまい。
俺が飯を探すのに、この手の仕事をしてきたが、今は時代が
時代なのか、古本の値段は一気に下がっている。
だから、売る側も、昔ほど強欲な奴も少なくなってる。
特にあの手の若い女なら尚更だ。
本田サナエと名乗った女は、俺が見た限りでは20代くらいだろう。
引っ越しの為に早く売捌いてしまいたいと言う気持ちが、
ひしひしと伝わってきていた。
ま、そうした客の方が、俺には何より有難いわけだが。