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第6章「後悔の先にあるもの」

「うぅ・・・」
「こんな状態だったら、もう流石に危険はないだろう。」

俺は、あの後、15冊目と16冊目から、徹底的に追加攻撃を受けてしまい、
今は芋虫のように、地面に転がっていた。
激しい苦痛に、俺は意識が朦朧としてしまっている。
15冊目の言うように、彼らにとってしたら、俺はもう脅威ではないだろう。
俺が能力で出した、鏡の迷宮もすっかり消えてしまって、
俺達はまた最初の闘技場の中に戻ってきてしまっていた。

「もう大丈夫なら、このまま12冊目に止めを刺そうよ?」
「ああ。そうしよう。俺達は、2冊目や8冊目のように、
残虐に殺し合いがしたいわけじゃないからな。」
「・・・・・・」

俺は消えかける意識の中で、15冊目と16冊目の言葉を聞く。
この2冊達に、どんな事情があるにしても、俺は、2の奴側には、
なって欲しくないと心から思った。
騙されているだけだと、警告してやりたいが、どうやらのその力さえもないようだ。

「な・・・さけない・・・な・・・俺・・・」

俺が気絶しかけた、まさにその時に、1冊目は俺の側に来て、
俺を抱きかかえる。

「ちょ?!何してんの?!」
「1冊目、どういうことですか?この戦いには、手を出さないと
言ったのは、1冊目のはずですが?」

1冊目の行動に、15冊目と16冊目は、驚きながらも、すぐに怒り出す。
どうやら、俺が知らないところで、この戦いの裏には色々と、
取り決めがあったようだ。

「俺自身がこの戦いに参加することはない。それは間違いない。」
「なら、今のその12冊目に何かする気ですか?」
「そ、そうだよ!事と次第によっては、阻止するよ?!」
「大したことはしない。12冊目に、「ある紙」を食べさせるだけだ。」
「ある・・・紙?」

1冊目の言葉を怪しむ15冊目と16冊目だが、紙を食べたくらいなら、
どうにもならないだろうと思ったのか、黙って1冊目の行動を許したようだった。

「12冊目・・・しっかりしろ。こうなるまで、何もしてやれないで済まなった。
だが、これがしたかったから、見てるしかなかった。許せ。」
「なにを・・・?」
「これを喰べろ。そうすれば、わかる。」
「・・・・?・・・・?!」

1冊目は俺にしか聞こえない声で、そう言った後で、
俺の口の中に何やら古びた茶に変色しまっている、本の一部らしきものを入れた。
俺が、その苦くて渋みのある紙を、悪戦苦闘し、どうにか飲み込んだ時に、
俺の身体の中で、感情が抑えきれない程の激痛が駆け巡った。

「があああああああああ!!!!」

1冊目は、その紙を俺に食べさせて、すぐに俺から離れる。
俺は、自分の身体に何が起き出したのかわからず、
ただ、身体のあらゆる痛みと、身体が溶けてしまいそうな高熱を発し、
ただただ、苦しみに耐えるしかなかった。
それしか、言いようがない状態。
今の俺の精神は完全に発狂していた。
こんな俺の側に誰かが近くに居たら、俺は痛みからくる怒りで、
誰彼構わず、手にかけるだろう。
勝てないと分かっている1冊目だろうが、あのトワであっても。
1冊目と15冊目と16冊目は、こんな状態の俺を、見ているしかなかった。
15冊目と16冊目は、唖然としているだけだったが、1冊目は、苦悶も表情で、
それでも何かを心から願っているような顔でもあった。
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