このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第1章「下巻の奴等」

24冊目の家は、思いの他、俺の本拠地からも、そんなに遠い場所ではなかった。
だが、本当の家ではないかもしれない。この戦いの為に用意した場所か?
俺は警戒しながら、24冊目の家に上がる。
意外にも、この24冊目の家は生活感があった。
でも、それも俺を油断させる為の細工かもしれない。
俺はあれこれと疑心暗鬼になりながらも、24冊目に
勧められるままに、椅子に座った。
24冊目も自分用の椅子に座り、俺とテーブルを挟んで向かい合う。

「すいません、私達は本喰人なので、お茶とか用意しませんが。」
「構わないさ。場合によっては、すぐに戦いになるかもしれないしな?」
「ふふ、12冊目は気持ちいいほど、率直な方ですね。」

24冊目は、穏やかに会話を開始する。

「何で、お前みたいな奴が18なんかに協力する?
俺の見た限りじゃ、お前が本気になれば、18に勝てそうな気がするがな。」
「それは、買い被りすぎですよ、12冊目。私は所詮、下巻です。
中巻クラスが本気になれば、勝てるわけありません。」
「そうか?俺は、自分の本を見る目には自信があるんだけどな?」

俺はさっきよりは、感情を表してる24冊目を観察する。
今の所は、殺意などは全く感じない。嫌味な所さえもない。

「そう思って下さるのは嬉しいですが、私は12冊目は、
18冊目には勝てないと思ってます。だから、18冊目と組んだんですよ?」
「何?俺があの馬鹿の18に勝てないだと?」

俺は24冊目の言葉に、少しイラっとした。
何を根拠に勝てないなどと言ってくるのか、俺にはわからない。

「18冊目は、2冊目から、「禁断の本」を1冊与えられたらしいですよ?」
「「禁断の本」だと?」

俺は、それを聞いて、驚愕した。
「禁断の本」
それは、「特殊な本」よりも、もっと強力な本であり、禁断の言葉が示すように、
かなりの危険も、伴う本の事だ。
「禁断の本」を喰べようとして、逆に自分が消滅させられる恐れすらあるほどの本だ。
「禁断の本」を喰べるには、自分がそれを抑え込めるだけの力があるか、
その「禁断の本」と相性が良くなければならない。まさに諸刃の剣だ。
強い力を得るか、死ぬか。
もちろん、「禁断の本」を喰べることが出来れば、下巻であっても、
上巻と互角に戦えるようにはなれるだろう。それくらいの価値はある。
中巻クラスなら、更に勝率も上がるだろう。

「あの18が2に、その本を貰ったか・・・ふーん。」

俺は何か24冊目の言い方が気になったが、あえて詳しくは
聞かないことにした。
24冊目は俺の態度を気にすることもなく話を続ける。

「12冊目は、「禁断の本」が手元にある状態の18冊目に
勝てる自信はありますか?」
「そうだな・・・俺1冊じゃ無理だな。仲間が居れくれれば、
ワンチャンあるかもしれないが。」
「そうですか・・・では、やっぱり、この会話は無駄だったみたいですね。」

そう言うと、さっきまで穏やかだった、24冊目は、一気に激しい殺意を俺に向けて来た。
12/22ページ
スキ