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第6章「後悔の先にあるもの」

俺の断食6日目の日。二四とゴートンは、師匠から最後の修行の成果を
見る為の手合わせをする日であった。
2冊達は、かなり緊張しているらしく、その緊張感は、俺にも、
バシバシ伝わってくるほどだった。
それなりの時期を師匠と修行したとは言え、師匠といざ本気で戦うとなれば、
2冊達が緊張するのも仕方がないことだろう。
俺だって気持ち的には、弟達が大丈夫だろうか・・・
なんて、感じに思ってしまうほどだ。

「では、そろそろ始めるぞ?どちらから、拙者と戦う?どちらからでも良いぞ?
十二。今日はお前には、悪いが審判をしてくれるか?」
「はい。ぜひ、やらせて下さい。俺も師匠とこいつらとの試合を、
見て勉強させて貰いたいので。」
「ふっ。お前なら、そう言うと思ったぞ。では任せた。
よし、では、どちらからだ?早くせい。」

師匠は二四とゴートンを真面目な顔で見て、最初の試合相手を促す。
そこに、ゴートンが元気よく前に出て、「僕からいきます!」と、
師匠に言った。
そんなゴートンを見て、師匠は不敵にニヤリと笑い、返事する。

「ゴートンからであるな?わかった。楽しみだ。最初の頃のお前には、
拙者も色々と苦労したからな。
しかし、8冊目の眷属達を倒してからのお前は、かなり見違える程に成長した。
成長の度合いで言うなら、拙者はお前の方が期待しておる。」
「あ、有難いお言葉、感謝します!」
「こら。感謝はまだ早いぞ。これから、戦うと言うのに。」

師匠は元気よくお礼の言葉を言う、ゴートンに薄っすらと笑う。
気分を害したわけではなさそうで、俺は少しだけ心の中で、安心する。
きっと、ゴートンはつい素直に感謝の言葉を言ってしまっただけだから、
師匠も悪い気分にはならなかったのだろう。
ゴートンの素直さも、あいつの良さだからなぁ。

「では、ここに来て、拙者と立ち会え。十二と、二四は、
拙者達との戦いに巻き込まれないようにな。」
「わかりました。」
「わかってますよ、師匠。」

俺達は師匠の言葉にそれぞれ短く答えた。
そして、ほぼ1日を費やし、ゴートンと二四の師匠との修行卒業を
掛けた勝負試合は、行われた。
俺は予想していたよりも、ゴートンは3時間以上は師匠と戦い、
二四に至っては、戦略も巧みに使い、5時間も師匠との戦いを粘った。

「実に良い試合であった。拙者は満足している。ここまで、
2冊達が戦えるようになったのであれば、上巻クラスと戦う事に
なっても、即死などはあるまい。」
「では、今回の修行は成功と言う事ですか?」
「そうだな。これなら、合格にしてやっても良いだろう。」
「良かった。きっと、こいつらも喜ぶと思います。」
「うむ。この短い期間に、これだけ成長したのは、拙者としても、
嬉しいことだ。」

俺は、2冊達の試合を終えて、まだ気持ちが若干高ぶっている師匠と会話した。
連続で戦ったと言え、師匠からすれば、ちょっとだけ激しく
運動したくらいのレベルだろう。
でも、そうであっても、師匠は満足した顔をして、嬉しそうな雰囲気だったので、
俺としては、安心した。
さて、次は、俺の番だよな。まだ断食中だが、前にしたよりは、
今回はしっかりとした気持ちでいられてる。
俺も、二四達の成長に負けられないな。
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