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第6章「後悔の先にあるもの」

セアは俺の助言を最後は聞き入れ、単独で、師匠の元に行った。
最初は、俺も一緒についてきて欲しいと頼まれたが、俺は断った。
俺が一緒に行ったら、余計に師匠は機嫌を損ねるだけだと、俺はセアに言ったのだ。
これは、セアと師匠の問題なわけだからな。
俺が一緒に行ったところで何にも良い事はない。
助けてやるどころか、師匠により不信感を抱かれるだけだろう。
2冊同士の問題なのに、何で俺が関わってくるのかと。
俺も、そんな事で師匠に嫌悪感を持たれるのは困る。

「十二・・・どうだった?」

俺が、自分の部屋に戻ると、トワはすぐに俺の部屋に来て、
セアの様子を聞いてくる。
トワはトワなりに、セアの事が心配らしいな。まぁ、同じ特殊小冊子だから気になるか。

「ん?どうしたって、別にどうもしないぞ?」
「え?どうもしないって・・・何かお話したんじゃないの?」
「したのはしたけど、アレは、俺が関わるべき事じゃない。」
「え?!じゃあ、相談に乗ってあげなかったの?」
「いや、相談と言うか、助言はしたぞ?」
「ふーん・・・」

トワは俺の答えを聞いて、どことなく不満げだ。もっと、セアを
助けてあげないのかと、思っているんだろう。
アレは、自業自得だからな・・・何度も言うが、俺の出来ることは何もない。

「セアお姉ちゃんは、本当に六の師匠さんが好きなんだね。」
「みたいだな。そうなら、はっきり堂々とすればいいんだ。
裏で、コソコソやるから、逆に疑われるんだ。」
「そりゃ・・・そうかもしれないけどさ。でも、乙女心は複雑なんだからね?!
それに、セアお姉ちゃんは、かなり猛烈アピールしてるじゃん!いつも!」
「まぁ・・・してるとこは、してはいるが・・・」

俺は、トワに言われて、少し黙ってしまった。確かにセアは、
どっちかと言えば、正面で猛烈にアタックはしてはいるのはいる。
でも、今回の事はなぁ・・・師匠が寝てるとこに忍び込むとか・・・
もし俺なら、やってるのが、バレたら殺されるレベルだぞ・・・
セアは女の本で、師匠に好意があるから、また違うのは、わかってはいるが・・・
でも、あの師匠が、どう思うか・・・今回は俺にもわからん。

「トワ。ここで、俺とお前がいくら何を言おうと、当事者同士の問題だ。
今頃、師匠とセアで、話し合ってる頃だろうさ。大人しく待つしかないよ。」
「うん・・・十二の言う通りなんだけどさ・・・
でも、出来るのなら、円満に解決して欲しいなぁ・・・」
「そりゃ、俺だって、そう思うさ。やっぱり、今のこの生活に、セアがいないのも、
なんか寂しいもんな。」
「やっぱり?!十二もそう思うよね♪」

さっきまで、暗い雰囲気になっていたトワは、俺の言葉を聞いて、
明るい笑顔になって、俺の言葉に嬉しそうに反応する。
他人の恋愛にそこまで興味あるのか、トワは。
まぁ、知り合いが幸せになって欲しいと思うのは、俺もわからんでもないが・・・
でも、あの師匠がセアを孫以外の目線で見れるのか、どうか・・・
うーん・・・これは、奇跡が起こるのを信じるしかないレベルだぞ。
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