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第6章「後悔の先にあるもの」

俺達は師匠に先に修行に出て来ますと軽く声を掛けて、出て来た。
師匠は短く、「わかった」とだけ返事して、動く気配はない。
それから、師匠が修行してる場所に来たのは、午後も遅く過ぎてからだったが、
それでも、師匠は何かを語るわけでもなく、沈黙したまま、
何度か、今日はこの修行をしろと言うだけであった。
俺も流石に心配になり、何かを言うべきかと思いはしたが、
師匠の雰囲気は、近寄り難いものがあったので、結局出来なかった。

「あ、十二、お帰り!あのね・・・」

今日の修行が終わり、俺達が二四達の拠点に帰ってきて、すぐにトワは俺に声を掛ける。

「ん?どうした?トワ?」
「セアお姉ちゃんが、十二とお話したいって。」
「は?セアが俺と?師匠とじゃなくてか?」
「うん。十二だけ、呼んできて欲しいって、お願いされた。」
「はぁー勘弁してくれよ。」

俺は、修行から帰ってきて、疲れていたのもあるが、
セアと師匠のごたごたに巻き込まれたくなかったのも正直あった。
2冊での関係で起きた事なのだから、俺は関係ないはずだ。

「もう!十二は、すぐに面倒臭がる!ちゃんと、セアお姉ちゃんの所に行ってあげてよ?
私が、セアお姉ちゃんの頼みを聞いてないみたいになるの、
嫌だからね!!」
「わかった、わかった。行けばいいんだろう、俺が・・・」

俺は溜息をつきながら、セアの部屋に向かった。
二四とゴートンは、目線で、俺に「お疲れ様です」みたいな
感じを送ってくる。くそ・・・羨ましい奴らめ。

「セア?いるか?入るぞ?」
「ぐっす・・・あ、十二?いいわよ・・・」

セアはあの後も泣いていたらしく、俺の声に気付き、すぐに返事をした。
俺はセアの返事を聞いて、セアの部屋のドアを開けて、セアの部屋に入る。

「うわぁ・・・」

俺はつい奇声を上げてしまった。セアの部屋は、いかにも乙女!
と言った感じの物が沢山あり、部屋もピンク色の物も多かった。
ベッドから、カーテンから、クローゼットには入りきらない服までもが、カラフルで
俺は何だか恥ずかしい気持ちにさせられてしまった。
と、言うか、師匠はこの部屋に俺以上に何度も入ってるんだよな・・・?
すげぇな・・・流石、師匠だ。

「何よ?そんなに私の部屋は珍しいの?」
「いや・・・何と言うか・・・変わってるなぁーと思ってな。」
「そう?最初は六ちゃんも凄い顔してたけど、今では慣れっこよ?」
「へぇ・・・って、ところで俺に何か話か?」

俺はセアの話に感心させられつつ、本題を聞いた。
セアは、少し暗い顔になって、俺に言う。

「ねぇ?十二・・・十二は、六ちゃんの過去の事とか何か知らない?」
「え?師匠の過去?例えば、どんな事だ?」
「どこの国で育ったとか・・・思い出がある国はどこかとか・・・」
「セア、お前、まさかそれが知りたいから、今度のデート旅行で、
師匠と、
そういう国行こうとしたのか?」
「そりゃ・・・好きな人の事を知りたいと思うのは、変なことじゃないでしょ?」
「まぁーな・・・変なことではないが・・・でも、何で、ドイツにこだわったんだ?
それとも、たまたま話題に出したのか?」
「実は・・・」

俺がそれをセアに聞くと、セアは、真顔になる。
これは、意図があって、師匠にドイツの話をしたっぽいな。
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